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堤かなめのこれまでの質問

第213回国会 衆議院 厚生労働委員会 第4号 令和6年3月22日

・生活困窮者自立支援法等の改正
(就労支援事業の拡充、相談支援員の処遇改善等)

○堤委員 
皆様、こんにちは。立憲民主党の堤かなめでございます。
 生活困窮者自立支援法、これは二〇一三年、およそ十年前に成立したものです。この法律により、支援を早期に行うことで生活困窮状態から脱却することや貧困の連鎖を断ち切るための新しい制度ができました。この法律は、民主党政権下の社会保障と税の一体改革において、生活困窮者の自立に向けた生活自立支援サービスの体系化のため、必要な法整備も含め検討するとされたことを受けたものです。民主党政権の成果の一つであると思っております。
 先日、地元の社会福祉協議会で、この法律に基づく支援事業に実際に携わってこられた方にお話を伺いました。今回の改正により、支援で有効に使える事業が盛り込まれたことはありがたいということでした。しかし使える支援がまだまだ不十分で、支援の現場の方々は大変な御苦労をされていることもよく分かりました。
 以後、支援の現場の方からの貴重な御意見に基づき、残されている課題についてお聞きいたします。午前中の田中委員と重なるところがありますので、少し聞き方を変えております。よろしくお願いします。
 まず、昨年四月の時点で、例えば福岡県内では、二十九市のうち就労準備支援事業は二十五市、二十九市のうち二十五市、家計改善支援事業は二十八市、二十九市のうち二十八市と、かなりの市が実施しています。しかし、法の施行から十年近くたっても、まだ実施できていない市が残っているということです。現場では、これらの事業は自立への一歩を歩み出せるようになる大事な事業であると評価されております。これらの事業は是非必須化してほしいという強い要望がありますが、いかがでしょうか。
 あわせて、これらの事業と自立相談支援事業とを一体的に行う体制を確保するとのことですけれども、これまでの運用と変わるところがあるのか、お聞きします。

○朝川政府参考人 
生活困窮者が困窮状態から脱却するためには、収入面と支出面の両面から生活を安定させることが必要と考えております。それぞれ、自治体で、就労準備支援事業、家計改善支援事業、この両事業を実施をしていただくことが重要と考えています。
 一方、地域ごとにこうした支援のニーズでありますとか地域資源にばらつきがあることを踏まえますと、広域的な事業実施に向けた環境の整備でありますとか、ノウハウ、好事例の提供等を通じて、地域の実情に合わせて自治体への伴走支援を進めることによって、効果的、効率的に事業の実施を推進することが重要と考えております。
 このように、地域資源を有効に活用し、事業の質を向上させる観点から、家計改善支援事業及び就労準備支援事業は、自立相談支援事業、相談、入口の事業ですが、それと一体的に行われることが望ましく、かつ、既に多くの自治体においてこれら三つの事業が一体的に行われております現状を踏まえますと、こうした実施手法を標準的なものとして法律に位置づけることで、全国の生活困窮者への支援体制を充実させていくことが必要と考えています。
 これらを踏まえて、本法案では、家計改善支援事業の国庫補助率を、就労準備支援事業と同じ、一律三分の二に引き上げる財政支援の強化でありますとか、両事業の全国的な実施や支援の質の向上を図るための指針の公表を行うことでありますとか、あるいは未実施の自治体に対する事業実施支援の強化などを通じまして、家計改善支援事業及び就労準備支援事業の適切な実施を進めてまいりたいと考えています。

○堤委員 
朝川局長、ありがとうございます。
 次に、細かい点ではありますが、ちょっとした工夫で支援をもっと行いやすくするための方策について、現場から御示唆をいただきましたので、三点お聞きいたします。
 一点目です。今の時代、スマートフォン、スマホがなければ就職活動もままならないというのが現状です。レンタルスマホを貸し出す費用について予算化していただけると助かるとのことですが、いかがでしょうか。
 二点目に、相談窓口から自宅に帰るための交通費やその日の食費すら持ち合わせがないという相談者に、窓口の担当者の方、支援者の方はこっそり自腹で何がしかのお金を渡すといったこともあるとのことです。そういう方へ、一人一回例えば三千円程度でも、緊急小口支援といった制度化も是非御検討いただきたいと思います。
 三点目に、生活保護世帯の子供たちや引きこもりの方など支援対象者の御自宅へ訪問する際に、ちょっとした手土産、例えば季節の果物ですとかお菓子とかそういった、二、三個でも持っていくと、ドアを開けてもらいやすいし、話のきっかけにもなるのではないかと思います。例えば訪問支援金などという名目で、訪問一回につき三百円でもよいので制度化いただければ、支援員と対象者の方の間の信頼関係づくり、ラポールづくりもしやすいのではないか、そうすれば支援者の方の御苦労、気苦労、精神的負担を少しでも軽くできるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○朝川政府参考人 
生活困窮者自立支援制度では、地域の実情や生活困窮者の個々の状況に応じましてきめ細やかな支援を実現するために、様々な地域資源を活用しながら支援を行うことが重要と考えています。
 その上で、三つの方策について御提示いただきました。これは、現場で様々な工夫をしていっていただいている一環と考えております。
 まず、携帯電話の件につきましては、困窮者の場合、携帯電話の契約が難しい方というのがいらっしゃいます。そういった方々に携帯電話の貸出しを行っている自立相談支援機関もあると承知しておりますし、厚生労働省において、携帯電話の契約に一定の配慮を行っている通信事業者のリストを作成しまして、自立相談支援機関の窓口で本リストを活用した支援を行っていただいているということもあります。
 また、二つ目でございますけれども、その日の食費でありますとか交通費を工面することが難しい方が窓口にいらっしゃることもあります。その場合、例えば生活福祉資金の貸付制度で緊急小口資金というものもありますのでその利用でありますとか、あるいは、一定期間、衣食住を提供するシェルター事業というのがあって、その緊急的な活用というのも来年度予算で進めていくことにしております。それらなども含めて、地域資源を活用して、必要な支援に早期につなげていくことが重要と考えています。
 三つ目でございますが、支援対象者との関係づくりをしていくということについてですけれども、例えばフードバンクによる食料支援を活用するといったことも考えられまして、地域資源を活用した関係づくりのための取組を行うということは重要と考えています。
 いずれにいたしましても、様々な地域資源を活用して、地域の中で支え合いを深めて必要な支援が創出されていくということも重要と考えておりまして、本法案では、地域の関係機関が生活困窮者に関する情報共有や支援の検討を行って、地域課題の解決に向けた体制整備について議論を行う支援会議の設置も進めることとしております。国としても、そういう設置が進むように、自治体への働きかけを行っていきたいと思います。

○堤委員 
確かに、小口貸付制度とかもありますが、やはり申請してすぐにというわけにはいきませんし、フードバンクも利用していらっしゃるということもお聞きしました、ただ、いつもあるわけでもないし、どこででも使えるわけでもありませんので、地域の事情とか現場の事情である程度自由に使える支援金のようなものを是非御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
 次に、相談支援員の方々の処遇改善についてです。人をもっと大事にしてほしいということです。せっかく様々な研修を受け、支援の現場での経験を積み、支援対象者との信頼関係を築いても、その相談員が辞めてしまうとこれまでの努力が全て無駄になってしまいます。自立支援を持続可能なものとするためにも、相談支援員の方々の処遇の改善がどうしても必要です。
 このような、支援の必要な人と実際に関わって支援、援助活動を行っている人のことを、対人援助職といいます。生活困窮者の相談支援員だけでなく、医師、看護師などの医療職、教師や保育士、ソーシャルワーカー、ケアワーカー、心理職の方々なども含みます。
 対人援助職は、人のためになる、人から感謝される、人の成長を実感できる仕事です。AI、人工知能で多くの仕事が失われると言われておりますけれども、対人援助職は、AI時代になっても残り続ける、いえ、もっと重要性を持つ仕事であると思います。しかし、その一方で、対人援助職は、感情労働でもあり、そのストレスと責任はとても大きく、バーンアウト、燃え尽きてしまうリスクも抱えています。逆に言えば、セルフケア、人のケアばかりするんじゃなくて、自分自身もケアしないと非常に続けられない仕事です。ですから、十分なセルフケアや充電ができるように、給与と時間の余裕は必須だと思います。そして、その余裕は、よりよい支援やケアとして社会に必ず還元されます。
 厚労大臣、通告しておりませんけれども、対人援助職の量や質の充実、これは厚労省のまさに根幹ともいうべき役割ではないかと思いますが、対人援助職の処遇改善についての御見解をお聞かせください。

○武見国務大臣 
生活困窮者自立支援制度は、人が人を支える仕組みでございます。各種事業を担う支援員は、制度を実施する上で重要な基盤でございます。支援体制の強化に取り組んでいく必要が大いにあるというふうに考えます。
 そのために、令和六年度当初予算案におきまして、自立相談支援事業等の国庫補助の基準の見直しを行いました。支援の実施状況に応じた基準額になるよう見直すとともに、有資格者等の良質な人材の確保や、アウトリーチ、これは訪問による支援でありますが、その体制整備など、支援の質を高める取組を評価する加算を新設することとしております。
 また、令和五年度の調査研究事業では、自治体が自立相談支援事業の委託先を選定する際に、委託先における相談支援員の処遇の改善の取組を評価しているかどうかの実態把握も進めることになっております。
 今後、その結果も踏まえて、自治体に対しては、好事例などをガイドラインの形で周知していきたいというふうに考えております。

○堤委員 
今後に大いに期待しておりますので、よろしくお願いします。
 また、運営する法人自体が変わってしまうようなことになりますと、全て一からのスタートになってしまいます。委託の期間を最低五年以上とすることですとか、委託の費用だけの一義的な評価、委託費用が安いというだけで決めるのではなく、支援の質や実績を総合的に評価することを全国の自治体に通知などで周知徹底していただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

○朝川政府参考人 
生活困窮者自立支援法に基づきます自立相談支援事業等は、自治体が自ら実施するほかに、事業を適切、公正中立かつ効率的に実施することができる社会福祉法人でありますとか特定非営利活動法人等に委託することが可能でございます。事業を委託するに当たりましては、委員御指摘のとおり、事業運営の継続性でありますとか支援の質の確保が重要と考えております。現在も、自治体向けの事務マニュアルにおきまして、委託先選定の際には事業の継続性の観点にも留意すべきことでありますとか、価格のみの評価ではなくて、事業の内容を中心とした総合的な評価を行うことが適切であることを示しております。
 また、今年度の調査研究事業におきまして、自立相談支援機関の支援体制の強化を図る観点から、自治体が委託先事業者を選定する際の選定方法等について、複数年度契約や選定時の評価方法も含めた実態把握を進めてきたところでございます。
 今後、その結果も踏まえまして、自治体等に対し、委託先選定時の留意点について、ガイドラインの形でまとめて周知をしていきたいと考えております。

○堤委員 
ありがとうございます。
 一時生活支援事業、いわゆるシェルター事業についてお聞きします。
 例えば、福岡県では、これは二十九市のうち九市しか実施していません。御自分が相談員だと想像してください。相談に来られた方が今晩泊まるところがない、持ち合わせもないというふうに言われたときに、もしシェルターがなければどうすればいいのか、行く当てのない方にお帰りいただくのがどんなにつらい、心苦しいことかと思います。
 現場の方からは、単独の市だけではなく、広域でシェルターを確保できたら助かるという声をお聞きしました。田中委員からも御質問ありましたけれども、人口五万、十万くらいの市ではシェルターの必要があるケースはそれほど多いわけではありませんが、あったらすごく助かる、だから幾つかの市町村で共同で使えるシェルターを是非つくってほしいとのことでした。
 一時生活支援事業を全国の全ての自治体で利用できるように、是非、そういった広域での設置や補助率の引上げなどが必要だと考えます。国としてどのような方策を取っていくのか、お聞かせください。

○朝川政府参考人 
本法案では、シェルター事業と見守りなどを行う地域居住支援事業、この二つの事業のうち必要な事業を実施することを福祉事務所設置自治体の努力義務とすることで、各自治体における事業の実施を促進することとしております。
 また、これまで、一時生活支援事業を始めとしまして、生活困窮者自立支援制度の任意事業の立ち上げを支援するために、未実施の自治体に対しまして、自治体コンサルティング事業を通じて、専門スタッフを派遣して事業実施上の助言やノウハウの提供を行うことでありますとか、事業の立ち上げや実施の参考となるような好事例を収集して周知することなどの取組を行ってまいりました。
 こうした取組に加えて、社会資源が限られ適切な事業の委託先が見つからないような小規模の自治体等もございますので、そういったところにおいては、市町村域を超えた広域的な事業の実施が有効な手段の一つであると考えています。例えば、熊本県では、一時生活支援事業の実施に際しまして、熊本県管轄の三十一町村と九市で共同実施しております。令和六年度からは、自治体コンサルティング事業におきまして、希望する自治体に対して広域実施に係る専門スタッフの派遣を行うこととしています。
 一時生活支援事業のシェルター事業につきましては、委託して民間の部屋を確保してやる事業形態もございますので、そういう事業形態も活用しながら、実施自治体が増加するように取組を進めてまいりたいと思います。

○堤委員 
朝川局長、ありがとうございます。
 それでは、生活困窮者の自立支援についてお聞きしてまいりましたけれども、この問題の根幹には格差の問題があります。大臣、日本社会の所得格差についてどのような認識をお持ちか、お聞かせください。

○武見国務大臣 
所得の格差というのは、社会の不安定の一つの重要な原因であろうというふうに思います。社会の在り方としては、でき得る限り安定した中間層というのが存在をすることが極めて重要で、政策の全体もそこに焦点を当てたものがやはり福祉国家としての基本になってくるんだろうと思います。
 その中で、先生御指摘のジニ係数は、一つの格差の指標で、OECDなどでも使っておりますけれども、例えば我が国のように医療保険で現物給付なんかをしておりますと、これは実はジニ係数のOECDの算定の中には入りません。
 実は、我が国の場合には、一九六一年に皆保険制度が成立をして、そして、その時点で保険制度というものが所得の分配の中で果たした役割というのは所得税とかそういう税制よりもはるかに大きくて、実際には政府の所得分配機能の七割以上はこうした現物給付の医療保険制度を通じて、保険と給付の中で実際にその機能が果たされていたというデータがございます。こうしたことを踏まえて、我が国の所得格差の問題というものを国際比較していくことがやはり必要かなということは、正直に思いました。
 他方で、様々な事情によってそうした中間所得層が大きかった我が国の時代状況というのは一九九〇年代の半ばぐらいから変わってきて、通常のOECD基準の中でも、平均的に、我が国の格差の広がりというのはその平均を超える状況にまでなってきたというのが実態であろうかと思います。
 ただ、そうした中で、様々な事情によって経済的な困窮状態にある方というのが現にいらっしゃるわけでありますから、生活困窮者自立支援制度であるとか生活保護制度などの重要なセーフティーネットによってこうした自立に向けた必要な支援を行っていくことがやはり非常に重要になってきているというふうに思います。
 こうした中で、現下の単身の高齢世帯の更なる増加や持家比率の低下などによって、住宅の確保が困難な方の住まい支援のニーズなどが今後ますます高まることが想定されるものでありますから、こうした対応策を私ども取らせていただいているというのが私の基本的な考え方でございます。

○堤委員 
大臣、ありがとうございます。
 今、資料一についても言っていただきました。ジニ係数というのは、ゼロから一の数値で表されますけれども、一に近いほど格差が大きいということです。
 日本の当初ジニ係数は、一九九〇年で〇・四三、この表には載っていませんけれども、直近の二〇二一年では〇・五七と、この三十年、じわりじわりと格差は拡大してきたということになります。
 大臣も、安定した中間層、先ほど我が会派の井坂委員の質問のときには、分厚い中間層が大事だと言いましたけれども、分厚いのがだんだん薄くなってきているということです。ですから、井坂委員が言われたような住宅の補助というのも大変大事だと思っております。
 もちろん、改善度も少しずつ上がってきて、再分配後の所得ジニ係数はそれほど大きくは変わっていないんですけれども、でも、この分配は、先ほど医療保険のことをおっしゃいましたけれども、高齢者には手厚いけれども、若者には余り再分配がされていないという指摘もされています。
 そして、大臣が、次の資料二、裏のページを御覧いただきますと、我が国の再分配効果は国際的にも非常に低いということで、公的移転ですね、社会保障などによる所得分配効果、これが、韓国が一番下ですけれども、韓国、アメリカに次いで、日本は、OECD諸国の中で下から三番目ということです。
 これが、もし武見大臣がおっしゃるように医療保険が、ここの現物支給が入っていないとすれば、これが入ったものも是非出していただきたいと思いますので、委員長、それが可能かどうか、お取り計らいいただけませんでしょうか。

○新谷委員長 
また、後刻理事会で確認させていただきます。

○堤委員 
また、税による再分配効果、こちらはもっと深刻です。OECD諸国の中で、何と日本は最下位でございます。やはりこれは大きな問題だと思います。
 本当に、この三十年、自民党政権、これは特に若者、現役世代の経済的に厳しい方々に冷たかったということは明らかだと思います。人を大事にしない国に将来はありません。これでは、異次元ではなく、低次元の少子化対策と言わざるを得ませんので、これからしっかり少子化対策をよろしくお願いします。税制の改善もお願いします。
 また、なぜ今の政府は生活に困っている方々に冷たいのか。生活に困窮している方々は、自民党に献金したり、パーティー券を大量に買ったりできません。武見大臣は業界団体から多額の献金を受け取っておられます。もし政治献金を受け取っていても、そのことによって政策がゆがめられることがないというのであれば、もっと再分配機能を強化したり、生活困窮者の自立支援のための予算、住宅の補助なども設置したり増額すべきであると申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。