堤かなめのこれまでの質問
「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)
第211回国会 衆議院 予算委員会 第9号 令和5年2月9日
○堤委員
皆様、こんにちは。立憲民主党の堤かなめです。
三・八、三月八日は国際女性デーです。その一か月ほど前ではございますが、今日は、立憲女性デーとして、質問者は全て女性となっております。ジェンダー平等、多様性の尊重が今の日本に最も必要なものの一つであるという立場から、質問させていただきます。
まず、超少子化について小倉大臣に質問します。
政府は二〇一五年に、戦後初めて、ようやく出生率の数値目標を掲げました。この政府目標、達成されたのでしょうか。
○小倉国務大臣
予算委員会の場でも申し上げたとおり、政府としては出生率を目標として掲げてございません。
と申しますのは、出生率を目標として掲げますと、それぞれの御家族や個々人に対して特定の価値観の押しつけ、あるいはプレッシャーを与えることになりますので、そういった趣旨を踏まえまして、出生率、出生数を目標として置いていないということでございます。
○堤委員
希望出生率一・八という政府目標は掲げたんじゃないんですか。
○小倉国務大臣
我々の少子化対策の大きな目標は、子供を持ちたいと希望する方のその持ちたいという希望をかなえることにございます。結果として、算数というか、機械的に算出した数字が希望出生率の一・八ということでございますので、これは目標ではなくて、あくまでも希望する人が全て子供を持てた場合の結果ということになるんではなかろうかと思います。
○堤委員
何かちょっとごまかしていらっしゃるような感じがしますよね。八年たっても全くこれは達成できていません。その兆しすらありません。
図一を御覧ください、資料の一ですね。
出生数と合計特殊出生数の推移でございますけれども、この赤線のところを御覧いただけませんでしょうか。戦後七十数年がたっております。ずうっと減少しています。本当に変わっていないんですね、この減少傾向。そして、この十年間、この十年間は超少子化です。
超少子化というのはどういうことだか、小倉大臣、お答えください。
○小倉国務大臣
超少子化という定義自体は、多分それをおっしゃる方のそれぞれのお考えがあってのことだと思いますが、一般論で言えば、我が国で少子化が進行しており、これについてはやはり、総理も申し上げているとおり、先送りの許されない、待ったなしの課題である、こういうふうには認識をしております。
○堤委員
超少子化というのは、人口学者がきちんと定義しています。一・五未満を超少子化というわけです。担当大臣がこういう基本的なことも御存じないというのは、ちょっと残念でございます。超少子化に対して本当に意識が、切迫した緊張感があるのかなと疑わざるを得ません。
そして、この十年間、ずっと超少子化なんです。脱却できていないんです。この十年間の少子化対策は失敗だった、失われた十年だったと小倉大臣、お認めになりませんか。
○小倉国務大臣
お答えをいたします。
これまで政府において、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、ライフステージに応じた支援を進めてまいりました。少子化対策の関係の予算額は、平成二十五年度の約三・三兆円から、令和四年度には約二倍の六・一兆円へと大きく増加をし、例えば、いわゆる保育所の待機児童の数につきましては、平成二十九年の約二・六万人から、昨年は約三千人まで減少するなど、一定の成果があったと考えております。
少子化の背景につきましては、個々人の結婚や出産、子育てへの希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っておりまして、個別の政策だけによる出生率への影響を取り出して答えることは困難だというふうに思っております。
いずれにいたしましても、個々人の方の、子供を持ちたいとおっしゃっている方のニーズをしっかりと酌み取って、現時点において、そういった方々の希望をかなえるような、そういった支援をしっかり考えていくことが重要だというふうに思っております。
○堤委員
是非、産みたいと思う人の希望をかなえるようにしていただきたいと思いますが、一定の成果はあったかもしれませんけれども、この数字。政治は結果責任です。この十年間、超少子化だった、この厳然たる事実は、ちゃんと向き合っていただきたい、大臣として、反省していただきたいと思っております。超少子化というのは、国難、有事ともいうべき事態ということなんです。
ところで、小倉大臣、明石市の泉房穂市長のお話を聞かれたり、本を読んだりされたことはございますでしょうか。
○小倉国務大臣
就任して間もなくだったと思います。経済同友会主催のラウンドテーブル、子育てに関するものがございまして、私も冒頭、御挨拶、御講演を申し上げましたが、その場のパネリストの一人としていらっしゃって、そのときに話を伺いました。
○堤委員
明石市は、子供予算を十年で二倍に増やして、出生率は一・七。一・七ですから、超少子化を脱却しています。そして、十年連続人口増。商店街が元気になり、市税が八年連続増加しています。つまり……(発言する者あり)そう、すばらしいんです。本当に、少子化対策、子供予算を倍増するということは、経済成長にもつながるということではないでしょうか。
その増加した分の市の税金で、高齢者や障害者の施策を充実して、全ての人に優しい町を実現した。全ての子供たちを町のみんなで本気で応援すれば、町のみんなが幸せになるんだ、お金がないではなくお金をつくるんだ、明石市でできたことは国でもできる、そんなふうにおっしゃっています。政府も十年前に着手すべきだった、失われた十年だったと私は思います。
また、二〇一八年にIMFは、日本の少子化に対して、日本がきちんとした改革を行わない限り、人口増によって、今後四十年で実質GDPが四分の一、四十年で実質GDP四分の一です、二五%減少してしまう、そういうふうな試算もしています。やはり国難、有事なんですね。そして、少子化対策は経済対策でもあるというわけです。
どうやって、この失われた十年、十年の失政を取り戻すのか、小倉大臣、お願いいたします。
〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○小倉国務大臣
委員は、少子化対策、子供施策と経済対策、強く関連づけておっしゃっていましたが、私は、実際に子供を持ちたいと希望してそれに向けて御努力されている方は、何も日本の経済のためにそういった行動を取られているわけではなくて、あくまでもそれぞれの人生の目標をかなえるためにやられていることだと思いますので、余り、経済の成長と少子化対策や子供施策の需要というのを強く結びつける、あるいはそれ自体を目標とすることについては、やはり抑制的でなければいけないというふうに感じております。
そういった考えの上で、現在、総理の御指示を踏まえて、私の下で開催をしておりますこども政策の強化に関する関係府省会議において、総理から示された、児童手当を中心とした経済的な支援の強化、第二に、幼児教育や保育の量、質両面からの強化と全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充、第三に、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実、この三つの基本的な方向性に沿って、有識者と子育て当事者、若者などからヒアリングを行っておりまして、こうしたヒアリングに基づいて、三月末にはしっかりとしたたたき台をお示しをしたいというふうに考えております。
○堤委員
私も全く同じ思いです。経済対策じゃないんです。それは結果なんですよね。みんなが産みたいと思える、その希望を満たすことができれば、結果的にそういう経済成長もする。
だから、お金がない、予算が足りないではなくて、まず先に子供予算をちゃんとつけて、そして、しっかりした、安心して産める、ここに来てよかった、明石市長が本当に言っていました、みんなから、市長、ありがとう、子供が産みやすい町をつくってくれてありがとうと言われると。本当に、十年前はそうじゃなかったけれども、十年たったらそう言われるようになったとおっしゃっていました。私は本当に感動しました。そういう意味でも、希望をかなえる。かなえられないのはなぜなのか。
資料の二を御覧ください。積極的に結婚したいと思わない理由についてでございます。
まず一つが、一番多いところが真ん中あたりの赤丸のところです。結婚に縛られたくない、自由でいたいからというものです。これはやはり、結婚が魅力的ではない。少子化の大きな原因の一つは、非婚化ということです。結婚をなかなかしない。今うなずいてくださっていますけれども、結婚しようという気持ちにならない。希望をかなえるということよりも先に、結婚が希望ではない。結婚している人を見ても、大変そうだなと。女性も、本当に髪を振り乱して仕事をして、働いて、二重三重の負担を背負って、あんなにはなりたくない、そんなふうに思っている人が多いからじゃないでしょうか。(発言する者あり)幸せな人ももちろんいます。そういう人を増やしていきたいと思います。
それで、この青印のところです。下から四番目の、仕事、家庭、育児、介護を背負うことになるからということですけれども、このようなベーシックサービスの充実、立憲民主党は掲げていますけれども、このサービスについての充実はどうされるのでしょうか。
○小倉国務大臣
先ほど申し上げたところにも一部かぶりますけれども、まさに、家事、育児の負担を軽減をするためにこそ、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化を、今の政権、あるいはその前の政権の下で着実に実施をしたわけでございますし、この先を見ましても、まさに育児負担というのは非常に大きなものがございますので、そういったものにつきまして、伴走型相談支援ということで、産後ケアや産前のケア、一時預かりといった、そういった様々な施策を充実をさせていこうということであります。
さらには、産後パパ育休制度もスタートいたしましたが、まさに、男性の育休、育児の参加を促進をすることによって、女性の皆様方の育児や家事の負担を軽減するという取組も着実に実施をしているところでございます。
○堤委員
それって、異次元じゃなくて、低次元じゃないんでしょうか。子育て予算倍増、やってくださいますか。
〔中山委員長代理退席、委員長着席〕
○小倉国務大臣
先ほど申し上げましたとおり、関係府省会議の下で、私が座長でございますが、まず、三月末までにたたき台を作らせていただきます。それを踏まえまして、今度は、四月以降、総理の下で議論を更に深めまして、六月の骨太の方針のときに、子供予算の将来的な倍増に向けた大枠をお示しをするということになってございます。
○堤委員
昨日、藤岡議員も質問しておられましたけれども、そのときの答弁、一年前に私が前任の野田大臣にした、御答弁と全く同じなんですね。内容をまず考える、そして六月にようやく骨太の方針を出される。結局、六月ってもう国会は終わっていますよ。なぜ六月までかかるんですか。この一年間何をされていたんでしょうか。
○小倉国務大臣
この一年間何をされてこられたのかということでありますが、まさに、昨年の八月に私が着任をして以来、こどもまんなかフォーラムや有識者会議を開催をさせていただきまして、子育て当事者、あるいは子供、さらには有識者の方々から、今後の子育て政策の充実の方向性についてお伺いをしてきたところでございますし、予算におきましても、先ほど申し上げたような伴走型支援と併せまして、出産・子育て応援交付金、こういったものを実施させていく中で、子供施策の充実を図ってきたところだというふうに考えております。
○堤委員
先ほどから見ていますように、戦後からずっと少子化、少子化になってきて長いんです。この間にもう、何をすべきなのか、することは分かっているんです。いろいろな審議会が開かれて、有識者会議が開かれて、計画が作られ、白書が作られてきたんです。今から検討して、内容を検討、それじゃ遅いんです。すぐに実行していただきたい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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