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HOME | 堤かなめのこれまでの質問 | 2023年11月14日地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

堤かなめのこれまでの質問

「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)

第212回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 第3号 令和5年11月14日

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○堤委員
 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめです。
 質問に入る前に、一点お願いがございます。
 立憲民主党は、国民の不安を払拭するため、十月二十日、二〇二四年秋の保険証の廃止を延期するための法案、保険証廃止延期法案あるいは保険証併用法案を衆議院に提出いたしました。さらに、十月二十三日には、一人親家庭に支給されている児童扶養手当を一律月額一万円増額するための児童扶養手当増額法案を衆議院に提出いたしました。
 いずれも国民生活に関わる大事な法案ですので、当委員会での審議を是非お願いしたいと存じます。委員長のお取り計らいをお願いいたします。

○谷委員長
 後日、理事会で協議いたします。

○堤委員
 よろしくお願いします。
 では、質問に入ります。
 本年四月にようやく発足したこども家庭庁の政策の柱には、成育環境にかかわらず誰一人取り残すことなく健やかな成長を保障することが掲げられています。この政策を確実に実施していただきたいという思いから、二点お聞きいたします。
 初めに、物価高が学校教育に与える影響について質問します。
 物価高騰により、給食の食材、ノートなどの学用品、理科の実験用具など、学校教育に欠かすことができないものの費用が高くなってしまっています。現場の栄養教職員の方々からは、卵、牛乳、魚、鳥肉、揚げ物の油、給食配送用のガソリンにも影響が出ている、事務職員の方々からは、教育活動に影響がないように、不足する予算を工夫し、節約を呼びかけ、懸命に業務に当たっているといった声が上がっています。
 慢性化している予算不足に対し、文科省としてどういう対策を取っているのか、十分な予算を確保できているのか、お聞きいたします。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 学校給食費につきましては、食料費高騰の影響を受ける保護者の負担軽減を図るため、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、こちらの活用を教育委員会等に対して促してきたところでございまして、ほとんどの自治体において、学校給食費の食材等の値上がり、そういったものに対応するものが抑制され、保護者負担軽減に向けた取組が進んでいるところです。
 また、教材費についても、各自治体に対して、この交付金の活用が可能な旨周知しているところでございます。
 今般の総合経済対策を踏まえた令和五年度補正予算案においても、重点支援地方交付金が積み増しされ、推奨事業メニューとして〇・五兆円が追加計上されたことから、引き続き、政府全体の取組の中で、保護者負担軽減の観点から、関係省庁と連携を図りつつ、適切に対応してまいります。

○堤委員
 今、重点支援地方交付金によって支援しているということでした。学校給食等の支援を推奨メニューとしているというふうにも聞いています。しかし、この推奨メニューには、プレミアム商品券、マイナポイント等の発行による消費下支えなどの事業も含まれています。つまり、必ずしも学校給食などの支援に充たっているかどうかは分からないということだと思います。
 では、給食等支援事業を実施した自治体は、ほとんどと今お答えはありましたけれども、何割ぐらいだと思っていらっしゃいますでしょうか。正確な数字ではなく、八割とか半数とか、そういう大まかなお答えで結構です。通告しておりませんが、お答えいただけませんでしょうか。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 先ほど、学校給食費の関係でございますけれども、物価が高騰したものに対応してその高騰分を措置する、実施するというところが千百六十九自治体、実施を予定している、四百八十三自治体、小計で千六百五十二自治体がございまして、物価高騰の影響を受けていないというところも含めますと、九九%の自治体がそういった給食費の保護者負担の軽減に取り組めるというような状況と聞いております。

○堤委員
 ありがとうございました。
 では、次に、物価高に負けない就学援助費についてです。
 学校教育法第十九条は、経済的理由によって就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならないと規定しており、学用品や通学費などを援助する就学援助制度があります。
 しかし、最近の物価の高騰は、経済的に厳しい家庭を直撃しています。物価高に即応した援助、物価高に負けない就学援助費になっているのか、お聞かせください。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 市町村では、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の保護者に対しまして就学援助を行っております。このうち、生活保護法に規定する要保護者への支援につきましては、国が経費の二分の一を補助しております。
 また、物価高に対応するために必要な額として、令和五年度予算におきましては、中学校の新入学児童の学用品等の国庫補助、この予算単価を対前年度三千円増の六万三千円とするということを対応しております。また、令和六年度の概算要求におきましても同様に、予算単価を、新入学児童生徒学用品等につきまして、小学校について三千円増を図る。また、学用品について、小学校七百六十円増の一万二千三百九十円、中学校千四百八十円増の二万四千二百十円。また、修学旅行費についても、小学校三千四百九十円増の二万六千百八十円、中学校千三百九十円増の六万二千三百円、こういった要求をしているところでございます。
 文部科学省としましても、今後とも、教育に係る経済的な負担軽減に向けた取組を進め、教育の機会均等に努めてまいります。

○堤委員
 安彦審議官、ありがとうございます。
 今お答えいただきました基準は、物価の全国平均に基づいた算出方法になっているものではないかと思います。したがって、地域によっては、就学援助費では足りない、賄えないこともあるということかと思います。例えば、卒業アルバムが就学援助費よりも五、六千円高いといった地域もあると聞いております。そういうことも念頭に置いていただきまして、更なる充実をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、インクルーシブ教育の推進について質問します。
 世界的に、SDGsが掲げる、誰一人取り残さないの概念、DアンドI、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンという言葉が広がる中で、教育分野においても例外ではなく、インクルーシブ教育への注目が世界的に高まっています。
 そのような中、昨年九月九日に国連障害者権利委員会が公表した、日本の報告に関する総合所見では、日本政府に対し、インクルーシブ教育について政策の改善が勧告されました。日本が障害者権利条約を締結した、二〇一九年以降初めてのことです。
 そこで、まず、この総合所見を受け、政府はどのように対応するのかについて、三点お聞きします。
 一点目に、通常学級の在り方についてです。
 日本政府からは、特別支援教育の枠組みはあくまでも維持しようとする姿勢、特別支援教育ありきの姿勢を感じます。これに対し、国連の障害者権利委員会は、通常学級の側からの体制整備や教員研修の充実などの取組を求めています。これは、日本政府が進めてきた方向性とはかなり異なるものです。
 本来の豊かなインクルーシブ教育を実現するためには、例えば、通常学級の規模をもっと小さくする、授業時数や教育課程を見直す、支援員を増やすなど、根本的な通常学級の在り方に関する議論が必要だと考えますが、国連の総合所見を踏まえ、インクルージョンの視点からの通常学級の在り方についてどのような改善が必要とお考えか、文科省の御見解をお聞かせください。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 通常の学級の在り方につきましては、本年三月に取りまとめました、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議、この報告におきまして、全ての教師が、障害のある児童生徒を含め多様な児童生徒が通常の学級に在籍していることを前提として、分かりやすい授業づくりを進め、その上で、座席の配置やICT活用を含む必要な合理的配慮の提供、また、学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置、特別支援学校の有する専門性や外部の専門家を活用した支援、通常の学級に在籍したまま特別な指導を受ける通級による指導の充実などの、障害のある児童生徒が通常の学級で学べるよう、通常の学級の教育力を高めるための方策について示されました。
 文部科学省としましては、この報告を受けまして、各都道府県教育委員会等に対しまして、校長のリーダーシップの下、通常の学級において特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対し、適切な指導や必要な支援を学校全体で組織的に行うための校内支援体制を充実させることなどについて、通知を発出したところでございます。
 文部科学省としましては、障害者権利委員会における勧告の趣旨等を踏まえまして、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための環境の整備を始め、よりインクルーシブな社会の実現のため、関連施策等の一層の充実に努めてまいります。

○堤委員
 日本政府には、分離された特別支援教育を中止することを目的として、豊かなインクルーシブ教育に関する国家行動計画を採択することが求められています。今、三月に指針のようなものをまとめられたということですが、文科省はこの勧告をどのように受け止められたのでしょうか。文科省の見解をお聞きいたします。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 障害のある子供の教育につきましては、各国ごとに様々な制度があるものと承知しております。その上で、障害のある子供を包容する教育を推進すべきという勧告の趣旨につきましては十分に受け止め、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取組を進めていく必要があると考えております。
 具体的には、障害のある子供の教育については、我が国において特別支援教育を受ける子供が増加する中、本人及び保護者の意向を踏まえつつ、特別支援学校、特別支援学級、通常学級、いずれにおいても、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学べるよう、環境整備を進めてまいりたいと考えております。

○堤委員
 今お答えいただきましたけれども、実際には、いろいろな現場から、学校から通常学級ではなく特別支援学級や学校を当然のように勧められたですとか、迷惑をかけるから通常学級は諦めたと悩む保護者さんの方もいらっしゃると聞いています。
 文科省は、本人の希望、保護者の希望と受け止めておられるのでしょうが、本当は、心の底は、遠慮して、忖度して通常学級を諦めているのかもしれません。不本意の選択の可能性もあるのではないでしょうか。
 また、後述しますように、通常のクラスの在り方が変われば、つまり、支援員が十分に配置されたり、通常学級が過度に競争的な環境でなくなれば、通常学級を選べる子供が増える可能性もあるということを指摘しておきたいと思います。
 三点目に、希望する障害のある子供が通常学級への就学を拒否できないようにすること、これも日本政府に求められています。このことを確実にするには、学校教育法施行令に規定すべきと考えますが、当面、すぐにでも可能なこととして、全ての子供に、まずは地域の通常学級への就学通知を出すべきではないでしょうか。そうすれば、通常学級への就学拒否は起こり得ない、制度的には起こり得ないと考えますが、いかがでしょうか。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 就学先の決定につきましては、本人及び保護者の意向を最大限尊重しまして、保護者等との丁寧な合意形成を図った上で、市町村教育委員会において総合的な観点から決定するという仕組みになっております。
 このことにつきましては、令和三年六月にも各教育委員会の就学事務担当者等に対して改めてお示しするなど、その徹底を図っているところでございます。
 就学事務は自治事務でありまして、具体的な通知の方法については各自治体の判断するところでございまして、御指摘のような取組をしている市町村もあるとは承知しております。
 文部科学省としましては、引き続き、就学決定事務が適切に行われるよう、周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

○堤委員
 通常学級をデフォルト、初期設定にしている自治体もあるということでしたので、どのくらいあるのかということを、是非、資料をこの本委員会に提出していただきたいと思います。委員長のお取り計らいをよろしくお願いいたします。

○谷委員長
 後日、理事会で協議します。

○堤委員
 よろしくお願いします。
 今、文科省がおっしゃったように、本人、保護者の意見を最大限尊重するためにそういう、まずは通常学級に、就学通知を全ての子供たちに出すということは大事だと思いますので、是非、御検討をお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。
 条約が示すインクルーシブ教育を実現するには、大胆な政策転換が必要です。障害は、障害者にあるのではなく、社会がつくり出しているものです。国民の意識を変えながら共生社会に近づいていくため、国の障害者政策を根本から見直していただきますよう要望しておきます。
 次に、特別支援教育支援員についてお聞きします。
 支援員の方々は、通常学級で学習と生活の両面から子供たちを支援しておられます。
 そこで、まず、インクルーシブ教育の推進に支援員が果たしている役割について、子供たち、保護者、教員はどのように評価しているのか、お聞かせください。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 特別支援教育支援員は、小中学校等において、障害のある児童生徒等の学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行っておりまして、大変重要な役割を担っております。
 近年の障害のある児童生徒等の増加傾向を踏まえれば、特別支援教育支援員の活用及び適切な配置が今後ますます重要となってくると認識しております。
 例えば、各自治体や学校現場からは、読み取りに困難を示す児童生徒に対して支援員が読み上げを行うことで学習に集中できるなどの声があると承知しております。

○堤委員
 では、この資料一を御覧ください。
 特別教育支援員について、地方財政措置された人数と実際に活用された人数の推移を示したものです。幼稚園でも小中学校でも高等学校でも、地財措置、地方財政措置された人数よりも活用人数の方が多い年度がかなりあることが分かります。例えば、一番右の計の欄を見てください。この十八年間で地財措置では賄えなかった年度が十四年度、十八年のうち十四年、不足分を市町村が補填してでも支援員を雇用しているということです。
 このような状態では支援員のニーズに応えることができないのではないかと懸念しますが、文科省の見解をお聞きいたします。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 地方交付税は地方公共団体固有の一般財源でありまして、その使途はあくまでも交付先である地方公共団体の判断に委ねられておりますが、財政状況にかかわらず各自治体において必要な配置が適切に行えるよう、財政的措置を講ずる必要があると認識しております。
 御指摘の特別支援教育支援員に関する地方財政措置につきましては、開始された平成十九年度以降、毎年各自治体における配置実績等を把握し、翌年度にはその実績を踏まえた、毎年度、措置額の拡充がなされてまいりました。その結果、制度開始以降、各自治体において配置実績が着実に伸びてきているものと認識しております。
 文部科学省としては、今後とも、各自治体における支援員のニーズに応えることができるよう、特別支援教育支援員の配置促進に努めてまいります。

○堤委員
 配置の促進に努めるとお答えいただきました。
 保護者の皆さんは、通常学級では授業についていけないのでは、いじめられてしまうのではなどの不安を持つ方々もいらっしゃると聞いています。通常学級での受入れ体制が整わず、通いたくても通えない子供がいる現状は見過ごせません。
 支援員の方々は、通常学級で子供たちの困り事に対応したり、授業の流れに乗り遅れた子供に声をかけるなど、大きな役割を果たしておられるというのは文科省の方からもお答えいただきました。インクルーシブ教育を前に進めるためにも、支援員の方々を十分に配置できるよう、更にどうぞよろしくお願いいたします。
 次に、インクルーシブ教育を阻害する要因について質問いたします。
 さきに述べましたように、国連の障害者権利委員会は、インクルーシブ教育の実現のためには通常学級の在り方を見直すことが必要だと指摘しています。
 また、二〇一九年には、国連子どもの権利委員会から、日本の教育システムが余りに競争的なため、子供たちから、遊ぶ時間や、体を動かす時間や、ゆっくり休む時間を奪い、子供たちが強いストレスを感じていること、それが子供たちの発達上のゆがみを与え、子供の体や精神の健康に悪影響を与えていることが指摘され、適切な処置を取るよう勧告されています。
 私は、過度に競争的な日本の教育システムは本来の豊かなインクルーシブ教育を阻害する要因の一つでもあるのではないか、過度に競争的な環境が、通常の学級で包摂されにくい子供、そこで強いストレスや生きづらさを感じる子供が増えているのではないかと考えます。その証左というべきものが、子供全体の数はどんどん減少しているのに、特別支援教育を受ける子供の数が増加、そして、不登校、いじめ、自死が増加しているという特異な現象ではないでしょうか。
 そこで、文科省にお聞きします。
 この十年で、小中学生の数、全体は何人減少、何%減少したのか、その一方で、不登校、いじめ、自死は何人、何%増えたのか、お聞きします。その上で、これらの増加の原因をどのように捉えているのか、御見解をお聞かせください。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 平成二十五年度から令和四年度までの十年間で、小学生は、四十八万二百三十二人、七・二%減少、中学生は、三十万七千六十人、八・六%減少、合わせて小中学生が七十八万七千二百九十二人、七・七%減少しております。
 この間、小中学校におきまして、不登校児童生徒数は、十七万九千四百三十一人、一五〇%増加、いじめの認知件数につきましては、四十八万九千三百五十二件、二八一%増加、自殺者数は、五十四人、五一%増加しております。
 また、それぞれの増加要因につきましては、様々な要因が複雑に関わっている場合が多く、一概には申し上げにくいところでございますけれども、例えば不登校児童生徒数が増加した要因としましては、学校に対する保護者、児童生徒自身の意識の変化など、社会全体の変化の影響や、新型コロナウイルス感染症により学校生活においても様々な制限がある中、交友関係を築くことが難しかった子供や登校する意欲を持ちにくい子供がいた可能性があること、そういったことが考えられます。
 また、いじめの認知件数が増加した要因としましては、学校現場において、いじめ防止対策推進法の定義に即した、いじめの積極的な認知が図られてきているということ、また、コロナ禍から通常の学校生活に戻りつつある中で、日常の授業におけるグループ活動や学校行事、部活動など、様々な活動への制限が緩和され、児童生徒同士の関わりが増加したこと等が考えられます。
 最後に、自殺者数が増加した要因についてでございます。コロナ禍から、在宅ワークの増加等による家庭内の過密化により家庭内葛藤等の家庭環境の不和が生じたこと、目標や夢、達成感等が得られる機会となる学校行事や大会等の中止、縮小等学校環境が変化したこと等が考えられます。

○堤委員
 今お答えいただきましたように、子供の数は七・七%減っている。その一方で、不登校は一五〇%増ということは、十年前の二・五倍に増加しています。しかも、この数字は、年間三十日以上欠席した者のうち病気や経済的な理由によるものを除いたもので、行き渋りと言われる子供たちも含めると、実際には、もっと多くの学校に行けない子が存在するということかと思います。
 いじめ件数も過去最多を更新し続け、十年間で何と四倍近くになっています。近年、いじめとようやく認知されるようになってきたということもありますが、この数字は氷山の一角にすぎないかもしれません。もちろん、学校に行くことが全てではありませんが、通常の学級が全ての子供たちを包摂するもの、インクルーシブなものであるべきなのに、そこに行けない、そこでつらい思いをしている、そこに居場所がないと感じる子供が増えているのではないでしょうか。
 こども政策担当大臣、通告はしておりませんけれども、このような子供たちの現状について率直な感想をお聞かせください。

○加藤国務大臣
 私の感想ということで、委員からの御質問がございました。
 不登校の子供たちや、いじめを受けている子供たち、自死を選んでしまっている子供たちが増加をしているということについては、政府としても、またこども家庭庁として、大変重く受け止めているところでございます。
 原因について、先ほど文科省よりお話、見解がありましたが、しっかり文科省とも連携を取りながら、学びについては文部科学省、そして、居場所づくりですとか育ちの支援、子育ての支援の観点からはこども家庭庁がしっかりと支えることによって、子供たちが生きやすい社会、こどもまんなか社会を実現していくことに全力を挙げてまいりたい、このように考えております。

○堤委員
 居場所づくりについてはこども家庭庁というふうにありましたけれども、学びについては文科省とお話がありましたが、びほう策ではなくて、穴の空いたバケツの水をすくうような方策ではなく、やはり、穴を塞ぐこと、学校の在り方、学級の在り方、そういったことを根本から変えていかなければならないのではないかと思っております。
 次に、過度に競争的な学校空間をつくり出している要因の一つ、インクルーシブ教育を阻害する要因の一つとして、授業時間の増加について質問いたします。
 資料二、増加する授業時数を御覧ください。
 この十七年で、小学校では七十時間、中学校では三十五時間、授業時数が増加しています。こういった、いじめや不登校や自死が増えているにもかかわらず、授業時数がどんどん増えていっているということでございます。
 文科省は、このような標準授業時数を超える実態を放置してきたことを猛省し、学校を主体に教育委員会とともに削減を進める必要があると思います。また、次期学習指導要領では指導内容と標準授業時数の削減が必要と考えますが、御見解をお聞かせください。

○安彦政府参考人
 お答え申し上げます。
 総授業時数を含みます各学校の教育課程につきましては、各学校や地域の実情を踏まえて、学習指導要領等の規定に基づき、各学校の判断において編成するものでございます。
 実際に、文部科学省が実施した調査によれば、標準授業時数を大きく上回って授業時間を確保している学校がある一方で、そうではない学校も多くあるところでございます。
 こうした状況も踏まえまして、今般の令和五年九月の通知では、全ての学校において授業時数の点検を行うことを求めるとともに、特に標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成している場合に、見直すことを前提に点検を行い、指導体制に見合った計画とするよう求めたところでございます。
 各学校におきましては、児童生徒の学習状況や指導体制を踏まえつつ、自校の授業時数についてしっかりと検証し、必要に応じて改善に努めていただくことが重要と考えており、文部科学省として必要な指導助言に努めてまいります。
 その上で、国が定める学習指導要領は、中央教育審議会での専門的な御議論も踏まえながら、これからの社会を生きる子供たちに必要な資質、能力を育成するために必要な内容を記載しているものでございます。その改訂に当たっては、現行の学習指導要領の実施状況などを十分に踏まえつつ、専門的な御議論もいただきながら検討してまいります。

○堤委員
 やはり、学校現場が過度な、今日は質問には入っていませんが、学力テスト、学力調査もあるかと思うんですね。そういった中で、学校の評価が、学力テストの結果によって、学校や学級の評価、学校や先生の評価が学力テストによって左右されるということになりますと、やはり、授業時数をどんどん増やして子供たちの成績を上げたいというふうに考える学校や先生たちが出てくるというのは当然ではないか、ある意味当然かと思います。やはり、学力テストの在り方も見直していただきたい。
 そして、授業時数については、私は、個人的には、上限を決める、残業時間も上限を決めておられますけれども、守られておりませんが、上限を決めていくということも大事ではないかと思っております。
 じゃ、次に行きます。
 最後に、ニューロダイバーシティー、神経多様性について質問します。
 このニューロダイバーシティーとは、オーストラリアの社会学者ジュディ・シンガーが一九九〇年代に提唱したものです。決して発達障害の言い換えではなく、人間の脳や精神の働き方は一人一人違うという基本的な人間理解の枠組みであり、一人一人の違いを個性として受け入れるという考え方のことです。
 日本でも、イノベーションや生産性を促すダイバーシティー経営が、就労人口の維持のみならず、企業の競争力強化の観点からも不可欠であるとして注目されてきています。中でも、ニューロダイバーシティーを、脳や神経に由来する個性として、企業の中で、社会の中で生かしていこうという動き、多様な個性を発揮できるよう環境を整える動きが国内外の企業で推進されつつあるようですが、このような動きについて今後どのように進めるのか、経産省の考えをお聞かせください。

○井上政府参考人
 お答え申し上げます。
 経済産業省としては、現代のように先行きの予測が困難な時代において、多様性の確保がイノベーションを生み出し、企業の成長、ひいては日本経済の成長につながると考えておりまして、企業のダイバーシティー経営を推進しているところでございます。
 委員御指摘のニューロダイバーシティーの推進につきましても、個人が特性を発揮できる環境の整備の観点から重要と考えておりまして、経済産業省としても、障害のある方の採用や活躍に関して企業が取り組んでいる事例を調査しつつ、企業の採用、体制づくり等の方策を整理をしたところでありまして、その普及啓発に取り組んでいるところでございます。
 引き続き、こうした取組によりまして、企業のダイバーシティー経営を推進していきたいというふうに考えております。

○堤委員
 オーストラリアでは、ニューロダイバーシティーの観点から、インクルーシブ教育を推進するということが各教育機関で進んでいるとも聞いています。ニューロダイバーシティーの概念の下、インクルーシブ教育を推し進めていくことも今後の課題になっていくのではないかと思います。
 教育の目的は人格の完成であって、企業のための人材育成ではありませんが、職場においてニューロダイバーシティーを進めるためには、成人してから初めて障害のある方々と出会う、就職して初めて障害のある方々と同じ空間で働くというのでは遅過ぎるのではないでしょうか。社会人になってから、いきなり多様性を正しく理解し、採用プロセスから、特性に合った配置、仕事の進め方などを、一人一人の個性が輝くような職場環境をつくる立場になれるとは思えません。やはり、子供の頃から、多様な子供たちと学び、共に支え合うという経験が大事ではないかと思います。
 ユーチューブでは、今いろいろな、例えば全盲の子供さんたちも通常学級で学んでいる。私も、全盲の子供たちが通常学級で学ぶというのは難しいんじゃないかなと実は思っていたんですけれども、ユーチューブでは、そういういろいろなインクルーシブ教育の先進事例がアップされています。
 そういった、全盲であるとか書字障害であるとか医療的ケアの子供たちが通常学級で普通に友達と一緒に遊んだり勉強したりする姿を見て、私も、やはりインクルーシブ教育が重要だなということをつくづく感じております。是非、機会がありましたら、大臣にも、そういったユーチューブを見ていただいたりして、理解を深めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。