堤かなめのこれまでの質問
「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)
第211回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 令和5年8月8日
○堤委員
立憲民主党の堤かなめです。
質疑時間十五分と限られており、早速質疑に入らせていただきます。
鳩山委員、吉田委員の御地元の久留米市に加え、私の地元であります朝倉市、東峰村、太宰府市、筑紫野市、那珂川市など、筑紫地区でも甚大な被害が発生いたしました。公共土木施設、農地、農業施設など、災害復旧や商工業者への支援などを早急に行う必要があります。
そこで、一点目に、原口委員からもございましたが、迅速な激甚災害指定についてです。
国は、指定する見込みであると七月二十七日に発表いたしました。しかし、既に発災から一か月がたとうとしています。七年前の九州北部豪雨、六年前の西日本豪雨などの経験に基づき、迅速な指定が可能ではないでしょうか。指定されると国の補助率がかさ上げされることなどから、被災地の市町村長の皆様も迅速な指定を強く求めています。
いつ正式に指定するのか、お聞きします。
○谷国務大臣
委員御指摘のとおり、早急な迅速な指定ということは大変大切なことだと思います。
ただ、繰り返しお話しさせていただいていますように、激甚指定というのは、被害額が幾らであるか、それがある程度めどが立たないと、見込みであれ言うことができないということがあるということを是非御理解を願いたいと思いますし、また、災害の期間をどう取るか、そのことにも関連するところであります。
梅雨期で大変長い期間ということも事実でございますので、しかし、御指摘の点は大変大事なことでございますので、引き続き、迅速な指定に向けて努力をしてまいりたいと思います。
○堤委員
地元から、何度も何度も繰り返し被災しているので心配が絶えないと。特に、今近づいてきている台風六号も心配です。台風と秋雨前線が重なると、更に大きな被害のおそれもあります。早く指定して、早く復旧復興の工事に取りかからなければなりません。よろしくお願いいたします。
二点目に、内水氾濫対策についてです。
鳩山委員からもございましたが、筑後川水系では七年も連続して内水氾濫により甚大な被害が発生し、地元では抜本的な対策をという悲痛な訴えをお聞きしております。内水氾濫とは、雨水の排水先の河川の水位が高くなることにより雨水が排水できなくなるという現象です。つまり、国が管理する一級河川、筑後川の水位を低くする、流下能力を高めるといった抜本的な対策が必要だということです。
国は、近年の被災状況を踏まえ、当面五年間で緊急的に河川整備を促進し浸水面積を減少させるとして、令和七年度までに全国の一級河川の整備率約七三%という目標を公表しています。この七三%というのが適当かというのも疑問ですけれども、直近の令和三年度で約六七%の達成率にとどまっているということです。
そこで、筑後川水系の達成率についてはどうなっているのか、令和七年度までに七三%という目標を全国及び筑後川水系で達成できる見込みなのか、お聞きいたします。
また、筑後川水系の河川整備基本方針は、平成十五年、二〇〇三年に策定されたものであり、既に二十年が経過しています。その当時としては適切な基本方針であったかと思いますが、この間、気候は大きく変わってしまいました。地球温暖化どころか地球沸騰化と言われる現在、尋常ではない降水量、特に線状降水帯の停滞による集中的な降雨には、二十年前の基本方針では到底対応できません。筑後川水系整備基本方針を早期に、新たに策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○廣瀬政府参考人
お答えいたします。
第五次社会資本整備重点計画において、重点施策の達成状況を測定するための代表的な指標、いわゆるKPIとして、一級河川における戦後最大洪水等に対応した河川の整備率を公表いたしておるところでございます。
筑後川水系におきましては、計画策定時、令和元年度末になりますけれども約七六%が、令和四年度末時点で七七%となってございます。また、全国の一級河川につきましては、委員からも御指摘ございましたけれども、目標値七三%、令和七年度末まででございますが、令和元年度末、計画策定時は六五%が、令和四年度末時点で六九%というふうに認識しておるところでございまして、一定順調に進捗しているものと考えてございますけれども、引き続きしっかり進めてまいりたいというふうに思ってございます。
もう一点でございます。
河川整備基本方針の見直しにつきましては、近年、水災害が頻発、激甚化しており、気候変動の影響で今後更に降雨量の増大が懸念されることから、全国の水系で気候変動により増大する降雨量等を考慮して、近年、大規模な出水が発生した水系等から、順次、河川整備基本方針の見直しを進めてございます。
筑後川水系においても、河川整備基本方針を気候変動の影響を踏まえたものへ見直しを行うため、現在、増大が想定される降雨量等の検討を行っているところでございます。
○堤委員
早く気候変動に対応できる計画にしていただきたいと思います。
三点目に、土砂災害特別警戒区域、レッドゾーン、土砂災害警戒区域、イエローゾーンの見直しについてです。
避難情報、これが早く出されること、先ほど、原口委員からも、線状降水帯の正確な予報を早く作ってほしい、早期に線状降水帯について警戒できるように皆さんに情報を提供できるようにしてほしいという質問もございましたが、避難情報が出たとしても、この地域はレッドでもイエローでもないから大丈夫という思いから避難が遅れてしまったのではないかという声もお聞きいたしました。
そこで、今回の災害ではレッドゾーンにもイエローゾーンにも指定されていない区域も被災したと聞いていますが、それは事実でしょうか。また、いずれにも指定されていないにもかかわらず被災した区域はどのくらいあると把握しているのでしょうか。また、区域指定の見直しはどうなっているのでしょうか。福岡県では毎年のように土砂災害が起きています。早期の見直しが必要かと思いますが、次の見直しはいつなのか、お聞きいたします。
○廣瀬政府参考人
お答えいたします。
今回の梅雨前線豪雨により土石流で大きな被害があった福岡県久留米市田主丸町竹野の千之尾川では、一部の家屋が土砂災害警戒区域から外れた場所で被災したことを確認いたしております。
今年七月に発生した土砂災害だけでも全国三百件以上に上っており、土砂到達範囲と土砂災害警戒区域との関係などの詳細については、都道府県の協力を得て、悉皆的な調査、分析を行うこととしております。
区域指定の見直しにつきましては、福岡県においては、土砂災害が発生した場合には、必要な箇所の基礎調査を行い、その結果も踏まえて区域の見直しを行っており、千之尾川についても同様の対応を行うと聞いてございます。
福岡県が必要な見直しを行うことに併せて、土砂災害警戒区域外でも被災事例があることを踏まえ、これまでも久留米市のハザードマップ等を通じて呼びかけてきましたが、引き続き、土砂災害警戒区域の周辺でも被災リスクがあることについても、国や県、市町村による注意喚起を行ってまいります。
○堤委員
では、時間もちょっと限られておりますので、少し飛ばしまして、五点目に予定しておりましたところに質問させていただきます。被災した中小企業等への支援についてです。
災害によって多大な被害を被った地域の経済の早期復旧のため、地場の中小企業の方々の支援を求める声が上がっております。例えば、私の地元東峰村は小石原焼で全国的に有名ですが、窯元の三分の一が被災し、この土地で代々継承されてきた焼き物作りが窮地に陥っております。六年前の豪雨からの復旧でも多額の費用がかかった、借入利子の免除などの支援があっても、元金返済のめどが立たない中、新たな借入れはできず、窯や電動ろくろの修理などにかかる経費への補助がないものだろうかといった切実な声を伺っております。
被災地の村長からは、なりわい再建支援事業などにより中小企業等への支援を早期に行っていただきたいという要望がございました。是非支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松浦政府参考人
お答えいたします。
委員御指摘のなりわい再建支援事業につきましては、大規模な災害により被災した中小企業等が被災施設等の復旧を行う際にその費用を補助するものでありまして、グループ補助金で求められていたグループ認定要件、これを不要とするなど、被災された事業者の利便性を向上させた制度でございます。
このグループ補助金やなりわい再建支援事業は、東日本大震災や熊本地震、令和二年七月豪雨、そういった激甚災害法における中小企業分野のいわゆる本激が適用される災害として、施設設備の損壊等の物理的な被害が広範囲かつ甚大であり、サプライチェーンが毀損すること等により我が国経済が停滞する事態に陥っている場合に特別に措置している制度でございまして、必ずしも災害で被害が発生した全ての地域、事業者様に講じていない点につきましては、何とぞ御理解を願いたいと思います。
他方で、こうしたなりわい再建支援事業が講じられない被災地域の小規模事業者様の復旧が支援できるよう、自治体による事業者支援の取組を補助する自治体連携型補助金につきましては、今年度から自治体に交付できる補助額を引き上げたところでありまして、こうした支援策の活用を含め、被災地域の状況を丁寧に把握し、被災された事業者様に寄り添った対応を心がけてまいりたいと思っております。
以上であります。
○堤委員
被災地の事業者の方々が将来に希望を持てるように、この自治体連携型補助金についても、もっと分かりやすく周知の方をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
次に、災害拠点病院の被災についてです。
吉田委員の方からもございましたが、久留米市の田主丸中央病院は災害拠点病院に指定されています。今回、災害拠点病院が被災したことについて、どのように捉えており、今後どう対応するのか、お聞きいたします。
○宮本政府参考人
お答え申し上げます。
大規模地震や風水害により災害拠点病院が被災した場合、事前に策定した業務継続計画に基づき、非常用自家発電機や備蓄燃料等を活用し、可能な限り早期に診療を復旧するように努めていただくことが望ましいと考えますが、先生御指摘のとおり、被災状況によっては復旧に一定程度時間を要する場合もあると承知しております。
こうした場合も想定して、都道府県は地方の実情に応じて災害拠点病院を複数指定しており、一つの災害拠点病院が被災したとしても、近隣の災害拠点病院や被災を受けていない他の近隣医療機関において重症傷病者を受け入れるなど、地域全体で災害時の医療提供体制を維持していただくことが重要であると考えております。
さらに、厚生労働省では、近年頻発している風水害に対応するため、災害拠点病院の指定要件に浸水対策を追加したところであり、令和六年四月に施行いたします。
引き続き、災害拠点病院等に対して必要な支援を実施してまいりたいと考えております。
○堤委員
以下、何点か要望させていただきます。
市町村の区域や被災の程度によって被災者間で不公平とならないよう、同一災害で住宅被害を受けた方全てを対象とするとともに、半壊、準半壊及び一部損壊の世帯への支援金支給の対象の拡大、支援金の増額をお願いします。
また、子供たちが被災により修学の継続を断念することがないよう、修学援助事業や授業料等減免事業の補助率の引上げなどの支援体制の拡充もお願いしておきます。
さらには、今回の災害により太宰府市の政庁跡など多くの国指定文化財が被災いたしました。これらの文化財は時間の経過とともにより一層状態の悪化が想定されますので、早期の事業採択をお願いします。
最後に、流域治水についてです。
国は、復旧復興のため、この流域治水プロジェクトを進めておられると承知しております。しかし、ある土木工学の専門家の方から、まだまだ従来型のハード中心から脱却できていないのではという指摘もいただいております。
流域治水を確実に進めるための予算を確保し、九州地方整備局の人員を拡充し、体制強化を図っていただきたい。また、専門家の派遣など技術的支援の充実に向け、積極的、具体的な方策を講じていただきますようお願いし、質問を終わります。
ありがとうございました。
当サイトについて
衆議院議員 堤かなめの公式ホームページです。