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堤かなめのこれまでの質問

「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)

第211回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 第5号 令和5年4月11日

○堤委員 
おはようございます。立憲民主党の堤かなめです。
 我が国の静かなる有事である超少子化を食い止めることは、子供の笑顔があふれ、高齢者や障害を持つ方々など、弱い立場にある人々とともに、支え合って暮らせる豊かな社会を実現するためにも重要です。私は、幸せの土台をつくることが政治の役割だと考えます。子供を産み育てたいと思える幸せな環境の実現に向け、以下質問いたします。大臣の認識や見解をお聞きする質問については通告しておりませんが、簡潔明瞭な御答弁をお願いいたします。
 初めに、去る三月三十一日、政府が発表した少子化対策のたたき台である、こども・子育ての政策の強化について(試案)についてです。この日、三月三十一日は地方自治体選挙の告示日でしたが、これは偶然なのか、それとも選挙目当て、選挙のためのアピールだったのか、お聞かせください。

○小倉国務大臣 
一月末の総理の指示は、基本的な三つの方向性に沿って、子供に必要な施策を体系的に取りまとめてほしい、その取りまとめたたたき台について、三月末を目途に取りまとめてほしい、そういう御指示をいただきましたので、かなり日程はタイトでありましたけれども、たしか六回ほど関係府省会議を開催をし、その間、こども政策対話ということで、総理とも地方に出張をし、当事者の意見を聞き、三月三十一日にこれを取りまとめたということでございます。

○堤委員 
三月三十一日が地方自治体選挙の告示日というのは、もうずっと前から分かっていたことでございます。また、お立場上、選挙目当て、選挙目的であったとは口が裂けてもおっしゃられないとは理解しております。でも、子供たちの曇りのない瞳には、選挙のためのアピールと映っているのではないでしょうか。
 先日のこども記者会見で、小倉大臣はこども記者から、こども家庭庁の政策は選挙のためのアピールなど一時的なものではなく、私たちが大人になるまでずっと続くものになりますかと質問されておられました。小倉大臣は、しっかりと、選挙目当てだと思われないようにしっかりやっていきたいと、しっかりを二回繰り返してお答えになりました。
 今回の試案は、選挙目当て、選挙のための一時的なアピールではないということでよろしいですね。

○小倉国務大臣 
一時的なアピールではありません。

○堤委員 
ありがとうございます。
 いずれにしても、選挙告示日に発表された試案は大きく報道され、児童手当の拡充、給食の無償化など、国民の皆様の中には、政府はようやくあれもこれもやってくれると大きな期待を抱いた方もおられたかと思います。
 しかし、実現に必要な金額も実現の時期も明らかにされておりません。レストランのメニューのようにずらりと並べられた項目、三十四項目あると聞いておりますが、これらの項目それぞれについて、いつまでに実現するのかだけでもお聞かせください。

○小倉国務大臣 
堤委員には、たたき台といいますか、この試案の中身、御覧になっていただいていると思いますが、この加速化プランというのは、まず三年間という期限を区切ってございます。その三年間の中で、政府として行うべきことというものも書いております。その中には、検討をするものもあれば、課題の整理をするものもあれば、具体的な年限、これを書いているものもございます。
 例えば、児童手当の充実につきましては、対象や金額など見直しの具体的な内容を骨太の方針二〇二三までに結論を得ると書いてございますし、授業料等減免及び給付型奨学金につきましては、令和六年度という年限を明確化をした上で、この年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層に拡大をするなど、具体的な時期を記載をしているものと承知をしております。
 こういったものも含めて、従来から申し上げているように、こども未来戦略会議において、必要な政策の内容、予算、財源、これを議論をして、さらに、骨太の今年の方針までに、子供、子育て予算の将来的な倍増に向けた大枠をお示しをさせていただく、こういうことでございます。

○堤委員 
つまり、今明らかになったのは、この三十四項目全てがすぐに実現できるわけではなくて、まず検討したり課題を整理したりという項目もたくさん含まれているということでございます。しかし、選挙の前に、これだけを実現するというふうに誤解された国民の方もいらっしゃるのではないかというふうに思います。
 また、報道によれば、政府の中では、年金、医療、介護など、国民が毎月支払う社会保険料を財源に充てるという案が検討されているとのことですが、本当でしょうか。

○小倉国務大臣 
財源につきましては、まず、必要な政策の内容そして予算、これを確定せねばなりません。その上で、この財源につきましては、社会保険の在り方、国と地方の役割分担、さらに、高等教育支援の在り方、こういった様々な工夫を重ねながら行っていくということは従前申し上げたとおりであります。
 まさに、必要な政策、予算そして財源を議論をするのが、先般立ち上がりましたこども戦略未来会議でございます。より多くの国民の皆様方の理解をいただくために、この会議には、経済界や労働団体、様々な学識経験者にも参加をしていただいております。まだ始まったばかりでありますので、予断を持って私からこの財源についてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、このこども戦略未来会議の中で六月までにしっかり議論を深めていく、そういうスケジュールになってございます。

○堤委員 
社会保険料の増額は、現役世代、子育て世代を直撃し、可処分所得が減り、経済全体に悪影響を与える可能性が高いと思います。そうなれば、更に少子化が加速化してしまいます。岸田増税、岸田負担増は、まさに本末転倒です。防衛費を大幅に増やすための財源は短時日で工面されましたが、最優先されるべきは少子化対策です。
 そもそも、この試案は遅過ぎと言わざるを得ません。
 民主党は、二〇〇九年、十四年前の衆議院選挙で、社会全体で子供の育ちを支援すると掲げ、政権交代後、速やかに所得制限のない子ども手当を導入いたしました。私自身、それまで政治には少し距離を置いておりましたけれども、このときの民主党が掲げた理念と方向性に賛同し、政治の世界に飛び込むことを決意いたしました。
 これに対し、当時野党であった自民党は、ばらまきだ、子ども手当はポル・ポトやスターリンと同じなどとさんざんに批判したと聞いております。その後、政権に復帰した自民党は、時計の針を巻き戻すかのように、児童手当と高校授業料無償化に所得制限を導入し、さらに、昨年十月には、児童手当の特例給付五千円を廃止しました。つまり、子育て家庭の経済的負担を増やしてしまったわけです。
 この十年、少子化を食い止めるどころか、少子化に拍車をかけ、少子化を加速させたのは、ほかならぬ政府・与党です。この十年間の少子化対策の失敗、まさに失われた十年についての反省の弁をお聞かせください。

○小倉国務大臣 
先生は、当時は民主党でありますので、立憲民主党とは関係のない政党だとは認識をしておりますが、二〇〇九年の話をされました。二〇一二年に今の児童手当が今の形になるまで、三党合意があったと思います。そこには民主党も含まれた中で三党合意がございまして、児童手当の所得制限が導入される一方で、〇―二歳児のところの児童手当の上乗せ、さらには三子以降の多子加算、これが当時の議論の中で導入されたと思います。
 それから十年が経過をいたしました。その間、待機児童の解消というのが大きな課題となっている中で、待機児童の保育の受皿の整備、さらには幼児教育、保育の無償化、こういったことを実現する中で、待機児童の数も、二万六千人を超えていたところから、足下、三千人程度まで減少しております。
 この十年間、そういった中で、子育て政策、進捗するところは進展をしておりますし、他方で、経済社会環境は大きく変化をいたしております。こういった子育て政策が進むことによって、例えば現金給付と現物給付の割合、これはかつては現金給付が三対二でありましたところを、先ほど申し上げたように、保育の受皿等々を進めてきた結果、現物給付が三に対して現金給付が二となりましたので、こういった経済状況の変化、さらには子育て政策の進捗状況を踏まえて、今この児童手当の在り方を見直すべきだというような総理の指示を踏まえて、今回、児童手当の拡充というたたき台での提言をまとめた次第であります。
 そういう意味では、子育て政策も進んでいるところは進んでおりますし、経済社会の変化というものもこの十年の間であります。二〇一二年、民主党も含めた三党合意での御判断もあったと思います。そういうのも全て含めて、今こういうたたき台をお示しをしているわけでありますから、十年まとめてこの少子化対策が失敗をしたという堤先生の御意見は当たらないのではないかというふうに私は考えております。

○堤委員 
進んでいるところはもちろん進んでおりますが、進んでいないところはもちろんあるかと思います。予想どおり、反省の弁は残念ながら聞けませんでした。
 松下幸之助氏は、反省なくして進歩なしという名言を残されています。なぜうまくいかなかったのか。なぜ、この十年、少子化対策の効果が上がらなかったのか。余りにも的外れで小粒だったのではないか。その原因をよく分析し、検討する、そして正すべきは正し、次に生かすべきは残す、そうした反省の上に着実な進歩が生まれてくるということですから、きちんと反省すべきと申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。
 また、我が国の、泉代表が指摘したように、国民にメニューだけを見せて実際の食事が届かないという状況になってしまうのかと暗たんたる気持ちになってしまいます。長妻政調会長が求めておりますが、政府・自民党には、この遅れた十年を取り戻すように急ピッチで進めていただきたいと強く要望しておきます。
 次に、具体的な政策についてですが、子育て支援の質の向上についてお伺いします。
 一点目に、保育士の配置と処遇の改善についてでございます。
 先ほど三党合意の話もございましたけれども、今、今後六、七年が少子化の流れを変えるラストチャンス、時間との闘いです。政府はようやく、やっと試案を出して、今後三年間で加速して取り組むこととして、「子育て支援については、量の拡大から質の向上へと政策の重点を移す。」としています。したがって、保育士の七十五年ぶりの配置基準と処遇の改善については、年度途中でも、遅くとも来年度には是非実現できるのだというふうに期待しております。
 そもそも、十一年前、こちらも自公民の三党で、幼児教育、保育、子育て支援の質と量の充実を図るためには一兆円程度の財源が必要であり、今回の消費税率の引上げにより確保する〇・七兆円程度以外の〇・三兆円超については速やかに確保の道筋を示すとともに、今後の各年度の予算編成において財源の確保に最大限努力するというふうに合意しています。
 また、その後、二〇一五年に子ども・子育て支援新制度が始まる際、政府は、一歳児で六人に一人から五人に一人、四、五歳児で三十人に一人から二十五人に一人に改善すると明言されたわけですけれども、それから八年後の今になっても、これらの改善は実現していません。そのため、この間、多くの野党議員が、いつ実現するのかと何度も質問を重ねてきましたが、そのたびに同じ答弁の繰り返しでした。
 そこで、二〇一五年から現在までのおよそ八年間に、保育士の配置の改善について財源確保と併せて検討が必要という答弁を政府は何回繰り返されたのか、お聞きします。その上で、今度こそ保育士の配置と処遇の改善の約束を守っていただけるのか、お聞かせください。

○藤原政府参考人 
お答え申し上げます。
 お尋ねの保育士の配置改善につきまして、財源確保と併せて検討が必要という趣旨で政府側が答弁した回数でございますけれども、事前に通告をいただきましたので議事録から検索をいたしました。二〇一五年から本年三月末までの間で七十七件確認をできました。
 一方、今般取りまとめたこども・子育て政策の強化に関する試案においては、長年の課題を解決する施策として、一歳児、四、五歳児の配置基準について、一歳児は六対一から五対一、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善するとともに、保育士等の更なる処遇改善の検討ということを記載をしたところでございます。
 今後、この試案を踏まえまして、こども未来戦略会議において必要な施策、予算、財源について更に議論を深めて、六月の骨太方針までに将来的な予算倍増に向けた大枠を提示するということとしております。
 以上でございます。

○堤委員 
八年間で、検討、検討、検討と七十七回も繰り返したということが分かりました。これこそ国会の質疑時間の無駄だと思います。時間を無駄にしているのは、野党ではなく政府・与党です。野党は追及ばかり、いつまで同じことをぐちぐち質問しているのかと支援者からも批判され、悲しい思いをすることがございますが、追及せざるを得ない状況をつくり出しているのは政府・与党の側でございます。まさにこの件がそうで、三党合意で、速やかにする、最大限努力すると約束したのですから、野党は、なぜ約束を守らないのかと追及せざるを得ませんし、保育の現場での子供の事故や不適切な対応をなくすために必要な政策だから、是非実現してほしいから、何度問いただしても、木で鼻をくくったような同じ答弁しか返ってこないから、何度も質問をせざるを得なかったわけです。
 七十七回ですね。もうこれ以上、質疑時間が無駄にならないよう、この私の質問が最後になるよう、今度こそ、速やかに保育士の配置基準と給与の改善を実現していただきたいと思います。強く要望しておきます。
 二点目に、保育所の入所条件についてです。
 立憲民主党は、さきの三月十六日に、政府より一足早く、「もっと良い「子ども・子育てビジョン」」を発表し、就業に関係なく保育の利用を可能にすると明記しました。政府の試案にも、こども誰でも通園制度という仮称で、同様の政策が盛り込まれました。
 内容にはもちろん賛成です。なぜなら、ゼロ、一、二歳児の約六割の、保育園や幼稚園に通っていない、いわゆる未就園児の家庭、特に専業主婦家庭では、子育てを母親一人で担う、いわゆるワンオペ育児が多く、子育ての悩みや不安を感じる割合が高いと言われているからです。
 とはいえ、懸念もございます。政府は、時間単位などで柔軟に利用できる通園給付の創設を検討するとしておりますが、受け入れる側の園では、時間単位で不定期に保育士を確保するのは困難であり、通園給付が園が負担する実際の経費を下回るような事態になれば、ただでさえ苦しい園の経営を圧迫することになりかねず、持続可能な制度になりません。
 丁寧な制度設計、園や保育士の過剰な負担にならない制度設計が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

○藤原政府参考人 
お答え申し上げます。
 現行の保育制度は、利用できる者が就労等の保育の必要性がある方に限定をされており、専業主婦家庭等も含めた未就園児のいる全ての御家庭に対する支援を行うには限界がございます。
 このため、現行の仕組みとは別に、専業主婦家庭等を含む二歳までの未就園児のいる全ての家庭への支援の強化に向けて、就労要件を問わず、時間単位で柔軟に保育所や認定こども園などに通園が可能となるような新たな給付を創設することを検討するということとしております。具体的には、保育所の空き定員の状況も踏まえながら、子供一人につき、月一定時間までの利用可能枠の中で、時間単位で柔軟に通園が可能な仕組みとすることを想定しております。
 いずれにいたしましても、具体的な制度設計は、御指摘いただきましたような、丁寧な制度設計ですとか、園や保育士の負担に過剰にならないように、そういった御指摘も踏まえながら、今後、議論をしていきたいと考えておりますが、当面は、令和五年度予算案に盛り込みました、未就園児の定期預かりを行うモデル事業の拡充を行いつつ、基盤整備をしっかりと進めてまいります。

○堤委員 
よろしくお願いします。
 三点目に、小規模保育所の危機的状況の救済についてです。
 三歳の壁という言葉をお聞きになった方も多いかと思います。小規模保育所に預けている保護者が直面する壁のことです。小規模保育所という制度は、保育園落ちた日本死ねという匿名の投稿などにより、いわゆる待機児童を短期間で減らすために始まったものです。
 ところが、新たな問題として出てきたのが、この三歳の壁です。小学校就学前までの保育所に入園できれば関係ないのですけれども、ゼロ、一、二歳の子供しか預かれない小規模保育所の場合、三歳になる前に再び保活、預かってくれる保育園を探さなければならないというものです。
 三歳の壁は、保護者にとってだけでなく、子供たちにとっても大きな壁となっています。子供が、保育所が大好きで帰りたがらなかったのに、大規模な保育所に替わったら、新しい環境になかなか慣れず、泣き続けるというケースも少なくありません。
 小規模のメリットは、子供が環境に慣れやすく、落ち着きやすい、保護者と保育士の距離が近く、親密な信頼関係がつくりやすいなどがあります。子供が起きている間に触れ合う時間は、家族よりも保育所の先生たちの方が多く、まさに昼間の家となっています。だからこそ、退所しなければならないときは、子供も保護者も先生方も切なくて、涙、涙の別れになり、保護者も保育士も、なぜ小学校に上がるまで同じ園では駄目なのかという思いでいっぱいになるとのことです。
 さらには、小規模保育所を運営する事業者にとっても、分厚い壁として立ちはだかっております。
 小規模認可保育所の対象児童はゼロ、一、二歳ですので、機械的に計算すれば、毎年三分の一が退所するということになります。しかし、小学校入学まで預かってもらえる保育所に早く移っておかなければ働き続けられなくなるという危機感から、もっと早く退所する子供が多く、実際には毎年半分ぐらいが退所してしまうということです。また、三、四、五歳の年長の兄弟がいる保護者にとって、保育所二か所の送迎は負担が大きく、やむを得ず、年長の兄弟と同じ保育所に移る方もおられます。一方、ゼロ歳児は、四月からではなく、五月雨式に年度途中に入ってきます。
 つまり、小規模保育園は、毎年度、前半の数か月は構造的に大きな赤字を抱えざるを得ないという状況になっています。経営者からは、もうやっていけない、これでは保育士の人件費を引き下げるなどブラックにならざるを得ないという悲鳴が上がっています。このままでは、税金を投入して小規模保育所を全国につくったのに、数年で多数が閉じてしまい、せっかく投じた税金が無駄になってしまうのではないでしょうか。
 そこで、待機児童が解消しつつあることは歓迎いたしますが、小規模保育所の定員充足率が低くなり、事業所の経営を圧迫しているのではないかと懸念しますが、どうなのか、お聞かせください。

○藤原政府参考人 
お答え申し上げます。
 まず、小規模保育事業の定員充足率ですが、令和四年四月現在、約八〇・四%となっております。
 委員御紹介いただきましたように、小規模保育事業は、原則、ゼロから二歳児を対象として、例外的に、地域の実情として市町村が特に必要と認めた場合には、三から五歳児を対象としているところでございます。
 実は今、国家戦略特区で、小規模保育事業者が自らの判断で、ゼロから五歳の間で柔軟に定員を定めることが可能という取組をしておりますけれども、この特例措置につきまして、令和五年二月に開催をされた国家戦略特区のワーキンググループにおきまして、全国展開をするという方針を御説明申し上げたところでございます。保育の選択肢を広げる観点から、小規模保育における三歳児以上の受入れに当たり、勘案する地域の実情の解釈について、市町村がニーズに応じて柔軟に判断できるような、そういった新しい解釈を通知で示すということにしたいと思っております。
 それから、運営費について、非常に経営が不安定であるという御指摘もいただきました。
 公定価格の基本分の単価につきましては、人件費、事業費、管理費、それぞれの標準的な経費を積み上げて、これはいわゆる積み上げ方式と呼んでおりますけれども、その総額を定員区分に応じて児童一人当たりの単価に割り戻して公定価格を設定する、こういった仕組みになってございます。
 これは、子ども・子育て支援法におきまして、教育・保育給付の認定を受けた子供が保育所などから教育、保育の提供を受けた場合に、それに係る給付を行う仕組みというふうな、そういう仕組みからきているものでございまして、別途、固定的な経費を支援するような形というのは、なかなか難しいものではあると思っております。
 ただ、一方で、人口減少局面で、委員がおっしゃったような、小規模保育を中心とした、経営が非常に不安定になるような局面というものは当然想定しておりますし、課題としても認識をしております。
 令和三年に、地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会取りまとめを行ったところでございますが、人口減少が進んでいる地域におきまして、保育所の機能を踏まえた支援の在り方について検討すべきといった提言もいただいておりますので、今後の小規模保育事業の在り方も踏まえ、引き続き、必要な財源確保策と併せてではありますけれども、検討をしてまいりたいと思っております。

○堤委員 
藤原局長、ありがとうございます。
 国家戦略特区において、定員をゼロ、一、二だけじゃなくて、もっと柔軟にということを全国展開していただけるという方針だということで、安堵いたしました。
 また、特に今、定員充足率八割ということで、今後少子化が進めばもっと苦しくなる。八割が平均ですから、六、七割という充足率のところもあろうかと思いますので、是非、先ほどお答えいただきましたことをやっていただき、早く財源を確保していただきたいと思います。本当に小規模保育所は、非常に定員が少ない状況が年度前半に続きますし、しかし、子供が一人でも在籍していれば、保育士二名と、自園調理の場合は調理員一名を必ず置かなければならないわけです。これらの人件費を含む水光熱費や火災保険料などの固定費を最低支給額として設定していただけたらというふうに思っておりますので、是非御検討をよろしくお願いいたします。
 四点目に入ってと思ったんですけれども、いいですかね、ちょっと時間が厳しくなってきましたが、賃借料加算についてお聞きします。
 保育所の家賃に対する加算ですけれども、都道府県別に算定基準が決まっています。福岡県の例えば実勢家賃は、b地域に区分されている奈良県や静岡県と同程度なんですけれども、c地域に実際には区分されています。そのため、賃借料加算を活用している福岡県内の四十三の保育所は、平均すると毎年およそ八十三万円を手出ししなければなりません。公平性という点から、区分を早急に見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、賃借料は変動するものですから、数年置きに定期的に見直してはいかがかと思います。御見解をお聞かせください。

○藤原政府参考人 
お答え申し上げます。
 保育所等の運営費となる公定価格におきまして、保育所等が賃貸物件である場合の加算として、委員御紹介いただきましたような賃借料加算を設けてございます。また、賃借料加算の金額と比べて実際の賃借料が大きく超過をしている場合には、その超過額の一部を補助するという事業も別途実施をしているところでございます。
 委員御指摘の、賃借料加算における地域区分でございますけれども、実は令和元年に、子ども・子育て支援新制度施行後五年後の見直しに当たりまして、子ども・子育て会議において検討を行っておりますけれども、その取りまとめの中では、見直しに係る対応方針といたしまして、仮に見直しを行った場合には減額になる自治体も出てくるということもありますので、現行の地域区分を維持すべきというふうな取りまとめが一旦行われております。こうした対応方針を十分踏まえていく必要があると考えております。
 引き続き、地方自治体や事業者団体、有識者の御意見も丁寧に伺いながら、また、安定的な財源の確保と併せて検討していく必要がある課題であると考えております。

○堤委員 
確かに、賃借料加算の三倍を超える保育所については、その乖離分を補助するという制度があると聞いておりますが、例えば福岡県で賃借料が三倍ではなく二・五倍を超える保育所を仮定しますと、おおむね賃借料が五百九十六万円に対し、加算は三百二十二万円、手出しは年間二百七十四万円もの金額になってしまいます。三倍を超えなければ加算がないというのは余りにも厳しいと思います。賃借料を超える場合には、乖離分のその九割を補助するなどの方が公平性が高いのではないかと思いますので、その点の御検討もよろしくお願いいたします。
 それでは、時間となりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。