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堤かなめのこれまでの質問

「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)

第211回国会 衆議院 経済産業委員会環境委員会原子力問題調査特別委員会連合審査会 第1号 令和5年4月19日

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○堤委員 
立憲民主党の堤かなめです。
 立憲民主党は、二〇五〇年までに再生エネルギー一〇〇%の実現を掲げています。皆さん御案内のとおり、近年では、太陽光、風力、地熱、地中熱など再エネのコストは急速に低下してきています。革新的な蓄電池の開発、再エネの余剰分を水素に変換して貯蔵する技術の開発、電気自動車、EVを利用した自家消費など、再エネ関連技術も変革期にあり、世界的に再エネ一〇〇%の実現可能性は着実に高まっています。
 先週金曜日、四月十四日の衆議院経済産業委員会においても、大島堅一参考人より、再エネ一〇〇%は絵空事ではなく現実的な課題、二〇五〇年を目標にして、できるだけ早く再エネ一〇〇%にするというのは、何か困難な、達成不可能な目標ではなく、現実的な、しかも最も安いものだと思うという発言や、今の産業界を見渡す中で、再エネほど成長性が高いものはない、再エネ一〇〇%を目指していくことが大事という発言がありました。
 ところが、今回提出されている、原子力発電の新設、増設や原発の六十年を超える運転を可能とする原子炉等規制法など五つの法案の束ね法案は、まさに原発回帰そのものであります。日本の未来を大きく左右するエネルギー政策を大きく転換するのであれば、少なくとも、その前に、国会での議論や国民への説明をもっと丁寧に、もっと徹底的に、もっと時間をかけてすべきだと考えます。
 次世代のエネルギー政策、日本が進むべき方向性について国民全体で議論するには、そのたたき台として、正確で分かりやすい情報が必要だと思います。試論的ではございますが、次世代の太陽光発電であるペロブスカイトと次世代の原子力発電として開発中の革新軽水炉についての比較表を、経産省から御提供いただきました情報を基に作成させていただきました。資料一を御覧ください。
 一点目に、実用化の目途についてです。
 次世代太陽光発電、ペロブスカイトは、軽量、柔軟、曇っていても室内で発電が可能です。さらには、原料がヨウ素で、日本は世界第二位の産出国、国内でサプライチェーンを構築でき、脱炭素とエネルギー安全保障の両立が可能であり、政府も取組を進めておられると承知しています。
 この再エネのホープとも期待されているペロブスカイトの実用化のめどについては、この表にありますように、二〇三〇年を待たずに早期の社会実装を目指すと具体的で明確です。ペロブスカイトがビルや工場など様々な建物の屋根や壁に張られ、町じゅう太陽光発電となり、国内で、地域でエネルギーの地産地消が実現される日もそう遠くはないと楽しみにしているところです。
 一方、革新軽水炉は二〇三〇年代以降となっておりますけれども、以降では、実用化が二十年先なのか三十年先なのか、皆目見当がつきません。一体いつ頃をめどとしているのか、改めてお聞かせください。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 太陽光、再エネにおけるペロブスカイトということと同じような形で、原子力の中でも、次世代を担う革新炉というものの開発というのを今進めているところでございます。まずは、同時に、政府としてもこれを積極的に応援していかなければならないと考えているところでございます。
 現在、革新軽水炉について言いますと、今までにない新たな安全メカニズムを導入した取組というのを進めておるところでございます。現時点において、一定程度開発が進んだ部分も、世界を見渡してあるわけでございますが、これを更に商用化という形での、商用炉に進めていく上での技術開発を現在進めているところというふうに認識しているところでございます。
 実用化のめどについてのお尋ねでございますが、実際に実用化となりますと、商用炉の建設における立地地域の方の御理解をいただくことが大前提となりますので、具体的な時点を申し上げることはできないわけでございますが、一般論で、研究開発という面から申し上げますと、資源エネルギー庁の審議会で産学官の関係者が整理しました研究開発を進めていく上での目標時期としては、二〇三〇年代後半の運転開始が見込まれるとされているところでございます。

○堤委員 
それでは、二点目に、安全性についてです。
 ペロブスカイトでは、現時点では、一般的な太陽光発電設備同様の安全対策が必要だと考えられるとのことです。一方、革新軽水炉では、日本特有の自然災害への対応、半地下構造による大規模航空機衝突、テロ対策、外部電源なく炉心を冷却できる受動的安全性、新規制基準に対応したシビアアクシデント、過酷事故ですね、その対策を導入予定とのことです。
 しかしながら、この対策、安全性を高める技術はいまだ開発の途上なのではないでしょうか。といいますのも、この表の一番下の欄の交付金、補助金の欄の、下線部をつけておりますけれども、ここにありますように、原子炉の安全性向上に資する技術開発事業として十五億円が計上されています。革新軽水炉の安全性向上は、これから技術の開発に取りかかるということでよろしいんでしょうか。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 原子力の革新炉の開発ということにつきましては、今委員から御指摘いただきました予算による支援措置に伴う技術開発も含めまして、様々、民間の中でされているのがベースでございますが、政府も踏まえて、より先のものを応援するものも含めて、複数のものに対して取組が進んでいるものでございます。
 さきに御指摘いただきました革新軽水炉、これは、具体の、民間の企業の中で開発が進められておりまして、立地がいつになるかというのは、商用化がいつになるか、これはなかなか申し上げにくいところではございますが、技術開発そのものは、先ほど御指摘を頂戴しましたような半地下構造の話、若しくは、溶融炉心を自然冷却するコアキャッチャー、若しくは、パッシブと呼んでいますけれども、燃料冷却が人、電力を介さずにできるような仕組み、いざというときのための対応策というものの技術開発、その実装に向けた準備というのは進められているところでございます。
 ただ、今ある軽水炉における次世代のみならず、例えば、スモールモジュールの、SMRと呼ばれるリアクターでございますとか高温ガス炉といった、これまた違う形式の原子炉、様々なものについての研究開発は進めているところでございまして、むしろ、先のところについての予算支援ということを行っているわけでございまして、様々な形で、将来を見据えた技術開発、その支援を進めているところでございます。

○堤委員 
先のところですとか様々にということで、結局、やはりこれから開発する、つまり、革新軽水炉の安全性は現時点では確立されていない、将来的に安全性が本当に確立できるのかどうか分からないということではないかと思います。
 福島第一原発事故当時の原子力委員会委員長の近藤駿介氏が行ったシミュレーションでは、最悪の場合、先ほど近藤委員からもございましたが、東日本全体がチェルノブイリ原発事故に匹敵するような大量の放射性物質に汚染され、原発から二百五十キロメートル半径の住民、およそ三千万人、日本の人口の四分の一が避難を強いられる、いわゆる東日本壊滅シナリオを予測していたと聞いています。
 事故や災害、テロやミサイル攻撃などが起きたとき、万々が一のとき、国民の命と健康が損なわれるのではないか、環境にも大きな取り返しのつかない被害を与えるのではないかという強い懸念を払拭できていないと考えますが、いかがでしょうか。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 原子力の安全の確保ということにつきましては、私どもは、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓ということをしっかりと踏まえていかなければならないと考えてございます。
 この委員会での、さきの大臣からの答弁もございましたように、この教訓を決して忘れてはならない、事故は決して起こらないということではなく、しっかりと、もし起こったときの対応ということを、備えをしていくということは大変重要なことかと思ってございます。
 ですので、先ほどの安全性のところについて申し上げましても、原子炉自体について、起こらないということでは、もし炉心の溶融が起こったときにどう対応していくのか、そのときに、放射性ガスというものをどう収集して外に出さないようにしていくか、様々な積み重ねをしていくことは大変重要なことだと思いますし、いざというときのための避難の計画、対応体制ということもしっかり取らなければならないと考えてございます。
 そういう意味で申し上げますと、福島の事故の反省をしっかりと踏まえた上で、私どもは、原子力についての御理解を賜りながら、導入が進めていかれるよう、様々な面での対応を進めていっているところでございます。

○堤委員 
様々では本当に分からないと思いますし、もし炉心溶融のようなことが起こったらということですけれども、例えば、ペロブスカイトなど、原発以外の発電施設ではそういったことを心配することもないわけです。そういうシビアアクシデントは起き得ないわけです。
 一方、原発関連では事故や不祥事が相次いでいるという点も非常に心配なんです。
 資料二を御覧ください。最近五年間の原発関連の事故、不祥事などについて一覧を作成していただきましたので、御覧ください。
 最近五年間だけで、事故、故障などが十九件となっています。また、不正、不祥事などは三十四件。
 例えば、二ページ目の一番下、ナンバー十三を御覧ください。二〇二〇年五月、中部電力浜岡一、二号機でございます。誤った図面に基づき、トリチウム測定装置の配管を不適切に施工ということです。こういったヒューマンエラー、人為的なミスは重大な事故や多大な損失につながる危険性があります。
 あわせて、過酷事故、シビアアクシデントの危険性、底知れない危険性をはらむ原発を運転する事業者には、経営の透明性、高い信頼性が求められると思います。
 十四番を御覧ください。三ページの一番上でございます。日本原子力発電敦賀二号機。新規制基準の審査資料における地質データの無断書換えが計八十か所に上ることが判明とあります。新聞記事にもなっていましたけれども、過去の提出資料の誤りが次々とこの敦賀二号機では見つかり、累計約千三百件に上っています。
 通告しておりませんが、担当大臣のこの件に関する御認識を伺いたいと思います。

○西村(康)国務大臣 
原子力発電をめぐっては、常に緊張感を持って安全確保、これを最優先に取り組まなければならないことであります。
 私も様々な機会で、電力事業者と視察に行ったりする機会も含めまして、緊張感を持って対応するように、そして、こうした規制委員会の審査に関わることについて、丁寧に真摯に対応するようにということを常に申し上げているところであります。
 ちょっとした不注意が大きな事故につながるわけでありますので、常に緊張感を持って安全確保を最優先に取り組んでもらいたい、このように考えているところであります。

○堤委員 
緊張感を持ってということですけれども、先ほど近藤委員の質問の最中、四十分間、そのほとんど、こちら、後ろにおられました、自民党さんだと思いますけれども、委員の方はずっとお休みになっておられました。その後ろの後ろの方もずっと私語をされておられました。こんな大切な法案を審議するのに、欠席の方も多いですし、自民党の方は本当に緊張感があるのかなと思っております。
 次に、三点目に、発電コストについてお伺いしたいと思います。
 まず、ペロブスカイトの発電コストについてお聞かせください。
 二〇三〇年度までに、一定条件下の発電コスト、十四円キロワットアワー以下を達成する、そういうふうにこちらの表ではなっておりますけれども、もう少し具体的に教えていただければと思います。

○井上政府参考人 
お答え申し上げます。
 御指摘の発電コストは、ペロブスカイト太陽電池でございますけれども、研究開発中でございますために、現時点で正確に評価することは困難でございますが、グリーンイノベーション基金のプロジェクトでは、中間目標として、二〇二五年までに一キロワットアワー当たり二十円以下の水準を目指す、最終的には、二〇三〇年までに、御指摘のとおり、一キロワットアワー当たり十四円以下の水準を目指すということとしております。
 社会実装に向けましては、こうしたコストを更に下げていくということのほか、耐久性などの課題をしっかり克服していく必要がございますので、引き続き取組を進めてまいりたいと考えてございます。

○堤委員 
先ほども述べましたように、再エネの発電コストは大きく下がっております。例えば、国立国会図書館の調査によりますと、英国、ドイツ、オランダにおいて、洋上風力発電のコストは、二〇一〇年から二〇二一年までの十年間で六割も低下したとのことです。
 一方、既に設置されている原子力発電、既設炉については、二〇三〇年の発電コストが十一・七円以上となっています。
 この以上というのは一体何なんでしょうか。キロワットアワー当たり少なくとも十一・七円はかかるということは分かっているけれども、幾らになるか実際のところは分からない、三十円なのか五十円なのか、はたまたもっと高い発電コストになるのか分からないということでよろしいでしょうか。また、革新軽水炉についてはいかがでしょうか。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 二〇二一年に行われました発電コストの検証の中におきまして、二〇三〇年に新たな発電設備を更地に建設、運転した際のコストというものを一定の前提の下で試算したものが、委員御指摘の発電コストでございます。
 その中で、原子力の発電コストにつきましては、一キロワットアワー当たり十一・七円以上と、御指摘のとおり、試算しているわけでございますが、これは、建設費、運転維持費に加えまして、追加安全対策費用、事故リスク対応費用、核燃料サイクル費用、政策経費などを全て織り込んだものでございます。
 そうなりますと、事故リスクの対応費用という部分が、今、現時点におきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故における見積り可能な廃炉、賠償等の費用二十一・五兆円というのを前提といたしまして、〇・六円・パー・キロワットアワーということで試算しているわけでございますが、これが、例えば一兆円増加しますと、大体一キロワットアワー当たり〇・〇一円から〇・〇三円増加することになります。
 ですので、この増加分が、増加することになりますとその分だけ上昇するという趣旨で、十一・七円以上という形で試算をお示ししているものでございます。

○堤委員 
建設費が上がればどんどん上がるということだと思います。
 四点目に、革新軽水炉の工期と建設コストについてお聞きします。
 革新軽水炉は、計画時よりも工期が何年も延びたり、コストが何倍もかかってしまったというケースが多いと聞いています。例えばフィンランド・オルキルオトの革新軽水炉の場合、工期について、計画時には三・九年とされていましたが、実際には十六・五年、四・二倍になっています。また、初期投資の額については、計画時には三十五億五千万ドル、日本円でおよそ四千七百億円と見積もられていましたが、実際には九十五億ドル、およそ一兆二千六百億円、二・七倍に膨らんだと聞いています。
 そこで、フランス・フラマンビルの革新軽水炉について、計画時から工期とコストがどう変わったのか、教えてください。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 今お尋ねのフランスで計画中のフラマンビルの革新軽水炉の件でございます、原子炉の開発の件でございますが、世界原子力協会のウェブサイトの中身について御説明を申し上げますと、フランス電力公社、EDFが二〇〇七年に建設を開始しておるわけでございますが、このフラマンビル原子力発電所三号機につきまして、時期でいいますと、当初、二〇一二年の運転開始、費用では総費用三十三億ユーロを見込んでいたというところだと承知しております。
 一方で、現時点のお話として申し上げて、直近で申し上げますと、二〇二二年十二月に掲載されました記事によりますと、同じくフラマンビル三号機については、二〇二四年第一・四半期に燃料の初装荷を予定しており、総費用については百三十二億ユーロを見込んでいるというふうに記載されているものと承知しております。

○堤委員 
つまり、五年で完成するはずだったのに、十六年たった現在でもまだ完成していない。すなわち、工期は確実に三倍を超えるということです。総費用の見込みは三十三億から百三十二億に、何と当初見込みの四倍にまで膨れ上がるということが分かりました。
 五点目に、原子力発電所のランニングコストについてです。
 既設の原発一基を運転維持するには年間どのくらいの費用、ランニングコストが必要なのか、教えてください。平均的原発についての機械的計算で結構です。稼働中の原発一基の部品数は、およそ一千万点、火力発電の数倍と聞いております。この保守点検、テロ対策など警備に係る費用、放射性廃棄物の保管や処理の費用など、その内訳も教えてください。
 あわせて、革新軽水炉についても、部品数、保守点検、警備、放射性廃棄物の保管、処理の費用についてどう見積もっているのか、教えてください。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 現時点におきます現存します原子炉自体のランニングコストというものは、各社が算定、公表しているものではございませんものですから、政府としては承知、把握しておりません。
 また、ランニングコストも含めまして、革新軽水炉については、まだ研究開発段階であるため、試算としてお示しすることもなかなか難しいところでございます。
 一方で、御質問を頂戴しました発電コストの検証というのを我々もやっているところでございまして、その中での私どもの想定、試算というもので御説明を申し上げますと、この検証の中では、百二十万キロワットの原子力発電所を一基新設した場合の運転維持費としてということで御答弁を申し上げますけれども、一キロワットアワー当たり三・三円と試算しています。
 算定の方式の根拠でございますが、人件費について年二十二・二億円、修繕費について言いますと建設費における総額の一・九%、諸経費として九十四・一億円、これは全体として、また、業務分担費としましては直接費における比率として一二・八%という、一定のサンプルプラントの下で試算しているわけでございますが、こういうものとして試算し、お示ししているところでございます。

○堤委員 
私があらかじめ経産省から聞いたときには、ここの表にありますように、承知していないとか困難だとかいうお答えしか返ってきませんでした。
 今るる御説明ございましたことはきちんと書類にして提出していただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

○古賀委員長 
ただいまの件につきましては、理事会にて協議させていただきます。

○堤委員 
では、資料一に示しましたように、既存の原発、そして革新軽水炉には、今年度予算だけで一千億を超える補助金や助成金、交付金などの費用がかかっています。さらに、原子力発電の場合、万一、万々が一事故が起きてしまった場合には、被災者への賠償、除染や廃炉などのための膨大な費用が必要になるかと思います。
 そこで、六点目に、福島第一原発事故によってこれまで十二年間に政府が負担したこれらの費用の総額について教えてください。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 お尋ねを頂戴しました令和三年度まででお答え申し上げます。令和三年度までに支払われた福島第一原発事故に伴う廃炉、賠償等の費用は、全体で約十二兆円でございます。
 内訳で申し上げます。廃炉費用として一兆七千十九億円、被災者賠償として七兆一千四百七十二億円、除染費用として二兆九千九百五十四億円、中間貯蔵施設費用として二千六百八十二億円であると承知してございます。

○堤委員 
およそ十二年で十二兆円、単純計算すれば毎年一兆円という恐ろしくなるような費用だということでございます。
 ランニングコスト、廃棄物の保管、処理、さらには万一の事故の際に必要となる費用まで含めますと、次世代革新炉は、ペロブスカイトなどの再エネに比べ、はるかに収益性が低い、経済性に劣るというのは明らかだと思いますが、いかがでしょうか。

○松山政府参考人 
お答え申し上げます。
 原子力発電のコストにつきましては、先ほど御答弁で申し上げました発電コストについて言いますと、確かに事故時対応リスクのところについての上昇分というのがこれからまだ見込まれるところ、この可能性があるかと認識してございます。一兆円増加しますと、キロワットアワー当たり〇・〇一円から〇・〇三円の増加ということが見込んでございます。また、今後、建設費の増大ですとか、様々な面もあると認識しております。
 いずれにいたしましても、原子力というベースロードとして安定供給ができるという電源と、再エネのような変動性の電源と、それぞれのよしあしがあろうかと考えております。日本の国内における安定供給と地球温暖化を考えた脱炭素化を両立できるようなベストミックスを進めてまいりたいと考えております。

○堤委員 
建設コスト、ランニングコスト、そして事故が起きたときの対応などを考えると、原発はとても高いということだと思います。
 六点目に、環境への負荷についてです。
 ペロブスカイトでは、研究開発段階にあるため現時点では不明とのことですが、人間の命と危険に何百年も悪影響を与え続けてしまうような有害な物質を排出することはないと思いますが、いかがでしょうか。

○井上政府参考人 
お答え申し上げます。
 ペロブスカイト太陽電池でございますけれども、おっしゃるとおり、研究開発段階にありますから、現時点で環境への負荷を正確に評価する、ここはちょっと困難でございますが、現在、研究開発中の技術では、環境への負荷が懸念される物質として鉛を含む場合があるというところはございます。
 他方、鉛の代替となる物質を使用すること、あるいは鉛の含有量を減らすような研究開発も進めてございます。また、鉛を包含する場合にも、含まれる鉛の量は、ペロブスカイトの場合は少量であり、適切な回収や処理を行う仕組みの中で対応していきたい。
 引き続き、グリーンイノベーション基金のプロジェクトの中で対応をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。

○堤委員 
鉛があるけれども、きちんと代替もあれば回収もできる、リサイクルもできるというようなことだと思います。
 ところが、原子力発電は、先ほど何百年と言いましたが、何万年も悪影響を与え続けてしまうということもあります。確かに、火力発電とは異なり、発電時にはCO2、二酸化炭素を排出しません。しかし、原発のライフサイクル全体で見ると、ウラン鉱石の採掘から製錬、燃料加工、運搬、原発の建設、廃炉といった工程で大量のCO2を排出してしまいます。
 また、福島第一原子力発電所の事故からも明らかなように、一たび事故が起こればその影響は広範囲に及びます。人々の生活や人権、かけがえのない命や健康まで奪ってしまいます。環境への悪影響、生物多様性への悪影響も看過できません。
 原発は本当にグリーンなのか、クリーンなのか、環境によいのか、国民や国土に悪影響を与えないのでしょうか。環境大臣の御所見をお伺いします。

○西村(明)国務大臣 
二〇三〇年度四六%の削減目標の達成、また二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、電力の脱炭素化、これが必要不可欠であるというふうに考えております。そのためにあらゆる選択肢を追求していくのが政府としての方針であります。
 原子力発電につきましては、二〇一一年の東京電力福島第一原子力発電所のように、一たび重大な事故が起これば、放射性物質による環境汚染を引き起こしてしまう可能性がございます。
 政府といたしましては、このような事故を二度と起こすことのないように、原子力については安全性を最優先として、原子力規制委員会の判断を尊重してまいりたい。そして、環境省といたしましては、原子力規制委員会の独立性を尊重するとともに、予算また体制においてサポートしてまいりたいというふうに考えております。
 また、脱炭素化の鍵となります再エネの最大限の導入に向けましては、既存の技術の活用に加えて、今、堤委員が御指摘をされておりましたペロブスカイト太陽電池、私も個人的に大変注目しておりますけれども、こういったものなど、新技術の社会実装に向けた取組、これをしっかりと促進してまいりたいというふうに考えております。

○堤委員 
資料三を御覧ください。ここに赤線を引いておりますけれども、このペロブスカイト、今大臣からも期待しているということでございましたが、またしても、ここにありますように、日本人研究者が二〇〇九年に発明した技術だが、中国メーカーが量産で先行しているとされるという状況にあります。がっかりです。
 またしても、従来型、シリコン型の太陽光発電、そして風力発電と同じように、せっかく開発や実用化で日本が先行していたのに、量産段階になると追い抜かれてしまうのではないでしょうか。GX担当大臣の御所見をお聞かせください。

○西村(康)国務大臣 
ペロブスカイト太陽電池は、御指摘のように、日本発の技術であり、また、主な原料であるヨウ素も日本はたくさん産出しておりますので、日本にとって非常に重要な技術であるというふうに認識をしております。
 ただ、御指摘のように、欧州、中国など、国際的にも研究開発競争が非常に激しくなってきております。今後、国内外の市場を獲得していくためには、投資の規模とスピード、開発を進めるという面でもしっかりと競争していくことが求められているところであります。
 その上で、ペロブスカイト太陽電池の製品化には、エネルギー変換効率に加えて、大型化それから耐久性の向上が鍵でありまして、特にこうした分野において、現時点では日本企業はリードしているというふうに認識をしております。
 経産省では、グリーンイノベーション基金を活用して、研究開発から社会実装まで切れ目なく支援をしていくこととしております。本年四月からは、建物の壁面での設置実証を開始予定であります。引き続き、国産のサプライチェーン構築も見据え、早期の実用化に取り組んでいきたいと考えております。
 その社会実装に向けては、量産技術の確立、そして需要の創出、生産体制の構築、整備、これを三位一体で進めることが重要であります。今月開催をいたしました再エネ・水素等関係閣僚会議のアクションプランでも、こうした方針を打ち出しております。
 御指摘のように、諸外国に先駆けて社会実装ができるよう、技術開発に加えて、普及拡大に向けた量産化についても、GX経済移行債の活用も含め、更なる支援策を検討してまいりたいというふうに考えております。

○堤委員 
よろしくお願いします。
 昨日、国会で開催されました営農型太陽光発電、ソーラーシェアリングの勉強会に参加させていただきました。このソーラーシェアリング技術もまた、日本の技術が先行していたにもかかわらず、ドイツ、フランス、アメリカなどに追い抜かれてしまうのではないかと大変心配になりました。二度も三度も同じ轍を踏まないよう、お願いしておきます。
 世界では、再エネの拡大が経済成長の原動力、経済成長のエンジンとなっています。
 立憲民主党は、基本政策として、原子力発電所の新設、増設は行わないと明言しています。ペロブスカイトを始め、あらゆる再エネの開発、普及に全力を注ぐ、そこにこそ資源と投資を集中させるべきです。
 同時に、我が党は、脱原発化を進めるに当たっては、地域振興、新産業育成、雇用の公正な移行を強力に支援する、特に雇用については、新しい成長分野における雇用創出を進めるとともに、雇用環境の激変緩和、失業対策として、企業の雇用維持支援、職業教育施策の充実、雇用転換に伴う所得補償制度などを法制化してまいるということを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。