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堤かなめのこれまでの質問

第208回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 令和4年3月4日

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○堤委員
 皆様、おはようございます。立憲民主党、福岡五区の堤かなめです。
 まず、子供政策予算の倍増について質問します。
 立憲民主党は、少子化を食い止め、社会全体の活力を高め、高齢者の方々をお支えするため、子供政策予算倍増を掲げています。また、既に十数年前に民主党が打ち出したチルドレンファーストの理念に賛同して、私は民主党に参加いたしました。資料一に示しましたように、大見出しで「子育て政策 全候補「予算倍増」」という報道に、立憲民主党の政策をようやく採用していただけた、遅きに失した感はありますが、やっと予算倍増が実現すると喜んでおりました。
 ところが、これはぬか喜びだったのでしょうか。二月四日の内閣委員会におきまして、子供政策予算の倍増について確認させていただきましたところ、野田大臣は、子供政策に関する予算をどんどん増やしていくのかという問いであればイエス、子供政策についてはしっかりと予算を内容に応じてつけていくなどとお答えになりましたが、倍増とは明言されませんでした。正直、がっかりいたしました。
 一方、岸田総理は、二月二十四日、先週のことです、参議院予算委員会で、我が党の森ゆうこ議員の質問に対し、予算の倍増に向けてしっかりと努力をしていきたいと考えますと答弁されています。
 そこで、改めて、野田大臣にも倍増とここで明言していただきたいと思います。持ち時間二十一分です。簡潔にお答えください。

○野田国務大臣
 岸田総理の関連予算倍増の発言については、元々、自民党の総裁選挙中の討論会の中で、四候補、私も入っていましたけれども、司会から子供に関する予算等について倍増すべきかと問われた際のものだと思います。
 私としても、期限、規模ありきではなくて、子供の視点に立って、必要な子供政策と、その充実に必要な安定財源の確保について、国民各界各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていきたいと思っています。
 我が国の少子化の現状は静かな有事であり、国家戦略として、子供を第一に考え、子供政策を社会の真ん中に据えるこどもまんなか社会実現に取り組んでいく必要があると考えています。同時に、思い切った子供政策の充実を目指していきます。
 いずれにしましても、子供目線に立って、必要な子供政策の充実にしっかりと取り組んでまいります。
 子供にとって大切なことは、何を届けるべきかであって、お金の総額ではないと思います。ただ、何をすべきかということがたくさんありますので、当然、たくさんの予算を私たちは取っていかなければならない、そういう意思を持って仕事をさせていただいています。

○堤委員
 お答えがちょっと、質問をちゃんと聞いていただいていないのかと思いますが、岸田首相は先週も予算倍増とおっしゃっていらっしゃいますので、まさに残念な野田大臣の答弁です。総理が倍増と答弁しているのに、担当大臣は倍増とは口が裂けてもおっしゃらない。閣内不一致と言わざるを得ません。
 また、具体的に何年まで予算が幾らになるのかはっきりしなければ、きちんとした計画も立てられません。そもそも、総理よりも担当大臣が子供政策に消極的というのはいかがなものでしょうか。大臣としての資質にも関わる問題だということを指摘させていただきます。
 次に、家族関係支出と出生率の関連についてです。
 資料二を御覧ください。
 野田大臣は少子化対策の特命担当大臣でもあり、釈迦に説法でございますが、家族関係支出と出生率は正の相関がある。日本の家族関係支出は少なく出生率は低いことについてどのような御見解をお持ちか、野田大臣にお聞きします。

○野田国務大臣
 国によって国民負担率などが異なることから、単純に比較することは適当ではないものの、御指摘のとおり、我が国の家族関係社会支出の対GDP比は、二〇一九年度で一・七三%、約九兆六千七百三十億円と、欧州諸国と比べて低水準になっていると指摘をされているところです。
 家族関係社会支出と合計特殊出生率の相関関係に言及した研究があることは承知していますが、総合的な少子化対策を大胆に進めていくためには、まずは、必要な安定財源を確保しつつ、効果的な少子化対策に、できることから速やかに着手することが重要だと考えています。
 いずれにしても、少子化対策に関する予算について、期限、規模ありきではなく、子供の視点、子育て当事者の視点に立って内容を充実させつつ、しっかり確保をしていきたいと思います。
 また、子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保については、基本方針においても、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしており、政府全体の議論が必要であると思います。
 昨日も、実際、経済財政諮問会議が開かれまして、私からも、この少子化対策が、極めて深刻な、静かなる有事であるということを申し上げ、国家戦略として、子供を第一に考えるこどもまんなか社会の実現に向けて思い切った子供政策の充実を目指す旨を申し上げたところでございます。
 総理が度々おっしゃっておられるのは、人への投資を倍増させるということで、そこの中の多くを子供という人に届けられるよう今頑張っている最中でございます。

○堤委員
 政府のこども政策の推進に係る有識者会議は、この出生率の低さは社会全体の根幹を揺るがしかねない、今まさに有事ともいうべき危機的な状況、少子化対策を含む子供政策を政府の最重点課題として強力に推進すべきだ、安定的な財源を確保し、思い切った財源投入を行うとともに、十分な人員体制を確保することが必要不可欠だと提言しています。
 野田大臣の政治生命を懸けて、例えば、本年度を基準年とし、二、三年後をめどに予算倍増を実現していただきますよう要望しておきます。
 次に、子供の幸せと健やかな育ちを支えるための相談窓口の周知についてです。
 御案内のように、今、超党派で女性支援法を準備しているところです。成立すれば、性的被害、家庭の状況、地域社会との関係性など、様々な事情により困難を抱える女性の支援を拡充する画期的な法律となります。そして、言うまでもありませんが、困難を抱える女性の多くは妊婦や母親であり、女性支援は子供支援でもあります。
 そこで、困難な問題を抱える女性又はそのおそれのある女性、つまり、ほぼ全ての女性に対して、相談できる窓口を伝える手段の一つとして、生理用品、妊娠検査薬、緊急避妊薬などのメーカーに御協力いただき、相談窓口一覧にアクセスするQRコードをパッケージに印刷していただく、あるいは、薬剤師会と連携し、妊娠検査薬や緊急避妊薬を購入する女性に案内チラシを手渡してもらうなどの方法を御検討いただけませんでしょうか。お答えをお願いいたします。

○佐藤副大臣
 予期しない妊娠や性の悩みを持つ若者等が一人で悩まず、適切な相談窓口につながるよう周知をすることは極めて重要であると考えております。
 そのため、厚生労働省におきましては、今年度、若者向けに性や健康の悩みに対応する知識を提供するウェブサイトを作成しておりまして、その中で、予期せぬ妊娠等の相談窓口についてもまとめて掲載を予定をしているところであります。
 このウェブサイトの周知の方法については現在検討しているところでありますけれども、支援を必要とされる方等が必要な情報にアクセスしやすくなるように周知に努めてまいります。

○堤委員
 副大臣、期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、新生児の里親委託について質問いたします。
 一点目に、赤ちゃん縁組の推進についてです。
 我が国では、多少の増減があるものの、虐待で死亡する十八歳未満の子供の半数近くがゼロ歳児であり、その中でも生まれたばかりの赤ちゃんの死亡が最も多いのが現状です。このようなゼロ歳児の虐待を防ぐためにも、特別養子縁組につながる新生児里親委託、赤ちゃん縁組といいますが、この取組は重要です。
 今から七年前に県議会でこの赤ちゃん縁組の質問をしました翌年、福岡県はマニュアルを作ってくださり、地元の西日本新聞が記事にしてくれました。その一部を紹介させていただきます。
 様々な事情で実の親が育てられない子供の新たな親子関係を自然に築こうと、福岡県は赤ちゃん縁組のマニュアルを策定、県内の児童相談所に配付した。望まない出産をする女性を支援し、新生児遺棄や虐待を防ぐ効果も期待され、県内の産科医療機関とも連携して取組を広げる。赤ちゃん縁組は愛知県が先進県として知られるが、都道府県がマニュアルを作って率先するのは全国でも珍しい。
 このように報道されました。当時の小川洋知事は、残念ながら昨年十一月に御逝去されましたが、小川知事と福岡県の職員の皆様の御努力に、この場をかりまして、改めて感謝いたします。
 そこで、この福岡県マニュアルを国としても御活用いただくなどにより、虐待死をなくすため、赤ちゃん縁組を拡充していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤副大臣
 御指摘の福岡県の資料も拝見させていただきました。
 特別養子縁組は子供にとって永続的に安定した養育環境を提供できるものであり、厚生労働省としても制度の普及促進に努めてまいりました。
 特別養子縁組が必要だと考えられる子供がいた場合、適切に制度の利用につなげるためには、養子縁組、里親の確保や育成等を行う児童相談所の役割が重要であると考えております。
 厚生労働省としては、議員御指摘の福岡県など各地域における里親委託推進の好事例につきまして、事例集を作成し横展開を行っておりますが、この事例集を活用して周知を図ってまいります。

○堤委員
 二点目に、乳幼児短期里親委託の推進についてです。
 新生児期は人格形成に多大な影響を与える時期であるため、たとえ期間が短くても里親に委託することは有用であるとして、福岡県は乳幼児短期里親委託を重点的に進めています。
 そこで、短期の乳幼児の里親委託、ここでは仮に赤ちゃん里親と呼びたいと思いますが、この赤ちゃん里親も推進していただけませんでしょうか。

○佐藤副大臣
 里親の開拓に当たりましては、制度の広報啓発を図るほか、希望者が円滑に里親として子供の養育を行うことができるよう様々な工夫を行うことが必要であると考えております。
 福岡県で実践されております乳幼児を短期間預かる里親、赤ちゃん里親でありますけれども、里親委託を推進する方策の一つであると考えます。
 現行制度におきましても、里親育成の観点から、中長期の委託を開始する前に、ショートステイや一時保護の仕組みを活用して、短期間、里親が子供の養育を行うことが可能となっております。
 是非こうした仕組みを活用しながら、引き続き里親委託推進に関する取組の強化を図ってまいります。

○堤委員
 ありがとうございます。
 三点目に、乳児院の機能転換及び専従職員の配置についてです。
 赤ちゃん縁組や赤ちゃん里親の開拓、里親や養親の方々の支援などの重要な役割を地域で担う新たな存在として、乳児院の機能転換が必要かと思いますが、この機能転換がどの程度進んでいるのか、また今後どのように進めていくのか、お答えください。

○岸本政府参考人
 お答えいたします。
 乳児院が社会的養護の担い手として培ってこられました専門性を地域の里親家庭やその他の家庭の養育に生かしていくことは大変重要なことと考えておりまして、乳児院の多機能化を進めているところでございます。
 特に、里親支援に関する取組の強化を図る観点から、乳児院が里親支援を行う専任の職員を配置することですとか、里親支援を行う機関としての役割を担うことができるよう必要な支援を行ってきております。
 令和元年度十月一日時点の乳児院の状況でございますが、里親支援を行います専任の職員は、全国百四十三施設のうち百十七施設に計百二十四名配置をされております。また、この百十七施設のうち五十四施設が里親支援を行う機関として指定をされている状況でございます。
 また、令和三年度予算からですが、令和六年度末時点の三歳児未満児の里親等委託率七五%以上、こういう目標を目指す自治体など意欲的に取り組む自治体に対しまして、乳児院等の施設に配置される里親支援を行う職員の増員を図ることができるよう支援の強化を行っているところでございます。
 こうした取組を通じまして、里親支援を行う機能の強化など、乳児院の多機能化を進めていきたいと考えております。

○堤委員
 四点目に、真実告知についてです。
 実の親が養育できない子供にとって、その子を幸福に導く条件が二つあるとされています。一つはパーマネンシー、永続性の感覚、そしてもう一つがアイデンティティー、出自を知る権利です。
 パーマネンシーについては、日本でもその重要性が認識されるようになり、特別養子縁組制度の導入の契機となりました。しかし、もう一つの、アイデンティティー、そして真実告知については、まだまだ我が国において理解が広まっていないように思います。
 真実告知とは、里親の方が子供に、私はあなたを産んでいないこと、産んでくれた人にはいろいろな事情があってあなたを育てることができないこと、私たちはあなたを育てることを心から望んでいること、あなたは私たちにとって大事な存在であることを子供に伝え、生い立ちを共に受け止め、その子のアイデンティティー、出自を尊重することです。
 先進国の多くで出自を知る権利が法律で保障されていますが、日本ではいまだ権利を保障する仕組みがありません。日本も批准する子どもの権利条約では、児童はできる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有すると定められています。
 そこで、出自を知る権利を法律的に保障し、出自に関する情報開示のためのガイドラインの制定や、養子縁組をあっせんする民間企業が事業を廃止した場合の記録の引継ぎの方法などの検討が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
 また、児童相談所と民間あっせん機関は、里親や育ての親を希望する方々に対し、子供の出自を知る権利の観点から、真実告知の必要性やそのために必要な支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

○岸本政府参考人
 お答えいたします。
 養子となった子供等が自分の出自を知る権利が保障されること、また、育ての親が真実告知など子供への適切な働きかけを行えるよう支援することは重要でございます。
 まず、養子の出自を知る権利についてでございますが、これにつきましては、あっせんした養子に関する記録の在り方や、養子に実親の情報を提供する際の留意点につきまして、民間あっせん機関宛てに昨年三月に通知をいたしますとともに、児童相談所を通じて養子となった子供が自らの出自を求めた場合、当該通知を参考に児童相談所が記録の保有や情報開示を行うよう、児童相談所運営指針を改正したところでございます。
 また、養子縁組あっせん法におきましては、民間あっせん機関が廃業する場合には、その帳簿を都道府県又は他の民間あっせん機関に引き継がなければならないとされておりまして、こうした規定に基づいて適切に支援が継続されることとなっております。
 また、真実告知でございますが、児童相談所は、児童相談所運営指針におきまして、真実告知の重要性の伝達、それから助言等を受けられる場の紹介を行うこととしております。また、民間あっせん機関においても、養子縁組あっせん法及び関係指針におきまして、真実告知を含め、児童の発達段階に応じた悩みに対する助言等の支援を行わなければならない、このようにしているところでございます。
 出自を知る権利の保障、真実告知の実施等に関し、引き続き必要な支援を検討してまいりたいと思います。

○堤委員
 二月四日の委員会では、佐藤副大臣より、令和二年を初年度として、三歳未満についてはおおむね五年以内に里親委託率七五%以上という目標値を示していただきました。令和七年度まで、つまり、あと三年で七五%を達成しなければなりませんが、これは容易ではありません。なぜなら、乳児院に入所している子供の数はこの十年ほとんど減っていない。つまり、三歳児未満の乳幼児の里親委託はこの十年ほとんど増えていないからです。
 最も多いゼロ歳児の虐待死を未然に防止するためにも、赤ちゃん縁組、赤ちゃん里親を推進するための施策を最優先し、予算と職員を十分に確保していただきますよう重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。