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堤かなめのこれまでの質問

第208回国会 衆議院 地方創生に関する特別委員会 第5号 令和4年4月28日

○堤委員
 皆様、こんにちは。立憲民主党、堤かなめでございます。
 本日は、農家の皆様にとっても、子供たちや心身が弱った方々にとっても、地域経済、地方創生にとってもよい、まさに三方よしの地産地消、オーガニック給食の推進について質問いたします。
 ロシア軍によるウクライナ侵略など、国際情勢が緊迫する中、安全保障という観点からも、食料自給率を高めること、食料安全保障に関心が高まっています。
 御案内のとおり、我が国の二〇二〇年の食料自給率は、カロリーベースで過去最低の三七%、四割にも満たず、主要先進国では韓国に次いで二番目に低いという深刻な状況にあります。
 そのような中、地産地消、地域で生産したものをその地域で消費するという動きも少しずつ高まってきています。
 地産地消は、食料自給率を高め、地域の生産者の保護や活性化をもたらし、地方創生にまさに資するものです。そもそも、遠方で取れたものよりも、地元で取れたものを地元で消費する方が、流通にかかる時間が短く、新鮮で栄養価の高い食材を提供できるわけで、改めてそのメリットが見直されてきています。
 さらに、地産地消は、SDGsの十四番、「海の豊かさを守ろう」と、十五番、「陸の豊かさも守ろう」に貢献するものです。地域の海で捕れたものや地域で育てたものをその地域で消費するということは、海洋資源や陸の資源の保護にもつながります。
 あわせて、地元で食物などを消費することで、運搬によって発生するCO2の削減につながり、エネルギー問題や環境問題にも寄与し、SDGsの七番、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」と、九番、「産業と技術革新の基盤をつくろう」、そして十三番の「気候変動に具体的な対策を」にも貢献するものです。
 そこで、まず、農林水産省から、地産地消の意義についての御見解をお聞かせください。

○下野大臣政務官
 お答えいたします。
 地産地消は、地域で生産された農林水産物をその地域で消費する取組であり、地産地消の取組の具体例として、直売所での地場農産物の直接販売、地場農産物を活用した加工品の開発、学校給食や社員食堂での地場農産物の利用、地域の消費者との交流、農業体験活動などが挙げられます。
 地産地消の取組は、消費者にとっては、生産者との顔が見える関係が築け、安心して地域の新鮮な農林水産物を消費できる、生産者にとっては、消費者ニーズに対応した生産が展開できるなど、生産者と消費者との結びつきの強化により、国産農林水産物の消費拡大、ひいては食料自給率の向上につながります。
 また、食育の推進、直売所や加工の取組等を通じた農林水産業の六次産業化、加工、観光業との連携による地域活性化への貢献、小規模な生産者への所得機会の創出などの効果が期待されます。
 このほか、生産地と消費地の距離が縮減されることから、議員御指摘のように、流通コストの低減や、輸送に係る二酸化炭素の排出量の抑制等により環境負荷の低減にも寄与するなど、意義のある取組と考えております。
 SDGsの全十七の目標のうち五つの目標が地産地消に貢献する取組となり、農林水産業を通して地域の雇用を創出し、地域経済の活性化につながることから、八番の「働きがいも経済成長も」という目標、十二番の「つくる責任、つかう責任」に資するものであり、SDGsに広く貢献する取組であると考えております。
 このため、農林水産省としましては、地場産率が約九割を占め、地産地消の核となる農産物直売所の施設整備や販売管理システムの導入支援を行うとともに、地産地消コーディネーターの派遣や地場産を使ったメニュー開発の支援などにより、しっかりと地産地消を推進してまいります。

○堤委員
 ありがとうございます。まさにいいことだらけという感じでございます。
 下野政務官とは、実は非常に近しく思っております。太宰府の御出身ということで、事務所も私の自宅からすぐ近くで、今日は本当にありがとうございます。
 私の地元、太宰府市とか筑紫野市なんですけれども、こちらの新聞記事、皆様のお手元にあるかと思いますが、私の地元には、地産地消を更に一歩進めて、一〇〇%オーガニック給食、有機無農薬の給食を実現していらっしゃる事業者の方がいらっしゃいますので、御紹介させていただきます。
 資料の一の下線部のところから少し読ませていただきます。これは今年の一月の新聞記事でございます。
 昨年一月から一〇〇%有機無農薬の給食を実現しているのが、福岡県にある児童生徒数約二百五十人の私立リンデンホールスクール小学・中高学部だということです。協力するのは、学校に近い筑紫野市の七十か所の農園約十五ヘクタールで年間六十種類の有機野菜を育てる八尋健次さん。野菜の味を決めるのは土と、肥料は使わない土づくりにこだわる。そして、同校、リンデンホールスクールの総料理長の杉本幸太さんは、八尋さんから届く一か月先の収穫予定表を見ながら献立を考える。従来は献立に合わせて食材を選んでいたが、仕入れの内容を見て献立を決めると供給の不安を感じることもないと杉本さんはお話しになっておられます。
 私も、実は、昨年の夏、県議のときに視察に伺いまして、このオーガニック給食を試食させていただきました。公立のいわゆる普通の小学校の給食も何度か食したことはありますけれども、比較すると大変申し訳ないんですけれども、こちらのオーガニック給食は野菜がすごくたっぷりで、薄味なんですけれども、しっかりと野菜の甘みがあってとてもおいしくて、本当にこんなおいしい食事を毎日食べられる子供たちは何て幸せなんだろう、そんなふうに思いました。
 ただ、少し気になったのは、やはり費用面のことでございます。オーガニックはいいけれども高いというのが、そういうイメージを持っておられる方は多いのではないかと思います。
 しかし、この料理長の方によりますと、旬の野菜は安い、従来と全く逆の、先にどんな野菜ができるかを聞いてから献立を立てる、そして、旬の野菜をたっぷり使う献立にすることで、費用が抑えられるとのことでした。最近もう一度お聞きしたんですけれども、かえって普通の給食よりも安いぐらいになっているということでした。例えば、旬の真冬のホウレンソウは、旬ではない真夏のホウレンソウよりも安価で、しかも、おいしくて栄養価が高い。今までの給食の食材が高かったのは、旬ではない野菜、レトルト、缶詰などを使っていたからで、そこを見直すとむしろ安くなってくるということでございました。
 さて、農林水産省は昨年五月に、みどりの食料システム戦略を打ち出しておられます。この戦略では、二〇五〇年までに化学農薬を五〇%減らす、化学肥料を三〇%減らす、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を、現在一%にも満たない状況ですけれども、これを二五%にまで増やすという大変意欲的な目標値を掲げておられます。本当に歓迎したいと思います。
 下線部二のところに示しましたように、給食など、需要を先につくることで、有機栽培への転換を勧めるきっかけになるということ。まさに、記事の見出しにも大きく出ておりますように、鍵は給食だということです。
 また、学校給食だけではなく、保育所、幼稚園、病院、様々な福祉施設や介護施設などで提供される給食、いわゆる公共調達の給食において、地元の地産地消の農産物、できればオーガニック、有機無農薬の農産物をもっともっと使っていただけないものかと思っております。子供たちや心身に不調を抱える、安全、安心なお米、野菜、果物などを食べていただくことは、健やかな成長や心身の健康につながるかと思います。
 このような公共調達の給食を、まずは地産地消、できればオーガニックに転換するための取組を是非進めていただきたいと思いますが、下野政務官、よろしくお願いいたします。

○下野大臣政務官
 お答えいたします。
 地産地消は、地域で生産された農産物をその地域で消費する取組であり、国産農産物の消費拡大につながるほか、地域活性化や環境負荷の低減にも寄与するものであります。
 農林水産省では、学校や病院、福祉施設等の施設給食における地場産の利用を進めるため、給食現場と生産現場との間の意見を調整する地産地消コーディネーターの派遣や、地場産を使ったメニュー開発なども支援をしております。
 また、有機農産物の利用につきましては、市町村が主体となった、生産から消費まで一貫した有機農業の拡大への取組に対して支援することとしており、この中で有機農産物等の学校給食への導入も支援をすることで、まずは優良事例を創出し、これを横展開することとしております。
 今後とも、関係省庁としっかりと連携をしまして、学校給食等の公共調達の給食における地産地消や有機農産物の利用促進に取り組んでまいります。
 先ほどから委員御指摘の、この資料にある学校のことも私も承知しておりまして、非常にすばらしいことだというふうに思っておりますし、できれば、供給が可能であるならば、有機野菜等を公立学校等でも給食に使うことができれば子供たちの心身の成長に資するものというふうに考えておりますので、しっかりそれらを地元と一緒に連携して進めていきたいと考えております。

○堤委員
 連携して進めていただけると本当にありがたいと思います。
 環境意識や健康意識が高い若者や女性では、特にオーガニック農業をやってみたいという人が多いと聞いています。オーガニックの市場があり、販路が安定すれば、農業で若者や女性が地域に定着したり、都会から移り住んでくる人が増え、まさに地方創生につながるかと思います。オーガニック農業、有機農業を推進するモデル地区、先進地区であるオーガニックビレッジを創出するため、農水省は、二〇二五年までに百の市町村を支援すると本年一月に公表いたしました。
 そこで、下野政務官にお聞きします。
 オーガニックビレッジに取り組もうとしている市町村は現時点でどのくらいあるのでしょうか、また、国としてそのような市町村にどのような支援をするのか、教えてください。

○下野大臣政務官
 お答えいたします。
 委員より御紹介のあったいわゆるオーガニックビレッジは、市町村が主体となって生産から消費まで一貫した取組を推進することにより、有機農業の拡大に取り組むモデル産地を創出することを目的とした事業であります。これまでに全国五十の地区から要望があり、現在、採択に向けた手続を進めているところであります。
 本事業では、農業者のみならず、地域住民や学校給食関係者などを巻き込んで有機農業拡大に向けた計画作りを行っていただくとともに、実現性の高い計画となるよう、事業実施期間中に産地づくりに必要となる取組を試行し、課題と解決策を地域で検討していただくこととしています。
 試行する取組としましては、例えば、生産段階では、圃場の団地化や技術講習会の開催、流通・加工段階では、流通コスト削減に向けた共同出荷体制の整備、消費段階では、有機農産物の学校給食での活用や、農業体験など消費者との交流など、市町村が地域の実情に応じて設定することとしておりまして、農林水産省はこうした取組に対してしっかりと支援を行ってまいります。

○堤委員
 福岡県にもモデル産地をたくさんつくるように、是非御協力をよろしくお願いいたします。
 フランスでは、一九九〇年代から有機給食、オーガニック給食に取り組む自治体が現れて、徐々に広がってきているということです。アメリカでは、二〇〇〇年代から西海岸の都市で始まり、全米の主要都市で取組が拡大したと聞いています。つまり、日本よりも二十年も三十年も早くから広がりを見せているということなんです。
 ただ、日本は温暖で湿度が高く、病害虫や雑草が発生しやすいため、オーガニック栽培はより難しいと言われています。しかし、この新聞記事の八尋氏のように、十年苦労を重ねたが、今は自分なりの農法を確立できたと自信を持っておっしゃる方もいらっしゃいます。このような方の知見や経験も活用していただき、オーガニック給食を広めていただきたいと思っております。
 次に、農福連携についてお聞きします。
 この八尋氏は、実は農福連携にも取り組んでおられます。八尋氏によれば、社会の中で生きづらさを感じている方々、知的障害であったり精神疾患であったり不登校や引きこもりと呼ばれる人たちが有機農業に参加していく、自然の中で身を置くこと、発芽して成長していく現実を毎日のように見ること、そして、そうやって育った野菜をできれば毎日二回食べること、そうすると、自分は生きていていいんだろうかと思っているような、エネルギーがしぼんでいた人たちが、見る見るうちに元気になっていくということでした。
 そして、この事業所は就労継続支援A型とB型両方を運営されておられますが、このB型で働いている方々の工賃は二十万円を超える方もおられ、平均で七万円前後だということです。
 そこで、お聞きします。
 B型事業所の全国的な平均工賃について、厚生労働省にお聞きします。
 その上で、農福連携のメリットや、この事業所の農福連携の取組についてどのように評価するのか、農林水産省にお聞きします。

○田原政府参考人
 お答えいたします。
 就労継続支援B型事業所におきます平均工賃でございますけれども、令和二年度で、月額で一万五千七百七十六円となっております。

○下野大臣政務官
 お答えいたします。
 農福連携は、障害者等が農業分野で活躍することで、農業の働き手が確保され、農業生産額の増加や荒廃農地の発生抑制につながるとともに、農作業を通じて、障害者等の体力やコミュニケーション能力の向上等、心身面での効果が期待できるなど、農業、農村及び福祉の双方にメリットをもたらすものであり、農業経営の発展とともに、障害者等の社会参画の実現につながる施策となっております。
 農福連携に取り組む主体数は、令和二年度末現在で四千五百七十一の事業所となっており、有機農業に取り組む事例としましては、無農薬、無化学肥料でブルーベリーを栽培している千葉県の事例や、有機JASに認証された茶の栽培に取り組む鹿児島県の事例があり、いずれも優良事例の横展開を図るノウフク・アワードにおいて表彰され、高く評価されているところであります。
 有機栽培は、通常の栽培よりも除草作業等の人手のかかる労力を要するものであり、その作業も多岐にわたることから、障害者の個々の特性を踏まえた活躍の場が広がる可能性があるものと考えており、農林水産省としても、有機栽培において農福連携に取り組む事例について、その周知に努めてまいります。

○堤委員
 それでは、最後に野田大臣にお聞きしたいと思います。
 地産地消やオーガニックビレッジの取組は基本的に農林水産省のテーマでございますが、学校、福祉施設、病院などの給食は文部科学省や厚生労働省、SDGsは環境省などに関連いたします。自律的で持続可能な社会をつくる、まさに地方創生の取組ですので、このような省庁にまたがる省庁横断的な取組について野田大臣に是非リードしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。是非、積極的な御答弁をお願いいたします。

○野田国務大臣
 委員御指摘の地産地消や農福連携を含めたオーガニック給食に関する取組は、地域資源を生かした農村づくりや就労機会の創出など、農業を起点とした地方創生を推進していく上で重要な取組であると考えています。
 地方創生は、地方の創意工夫を生かした取組を応援するものであり、御指摘の取組に関しては、地方公共団体から具体的な相談をいただければお話を伺っていく考えです。
 地方創生担当大臣に就任して間もなく、好事例の視察をさせていただいたところが、宮城県東松島市のKDDIエボルバ野蒜という農福連携の会社でございました。大変おいしい野菜を頂戴しまして、地方の無限の可能性というのをお示しいただいた次第です。
 いずれにしましても、引き続き、現場へ行き、そして、そこで声をしっかり伺いながら、関係省庁としっかり連携しつつ、地方創生に取り組んでまいります。

○堤委員
 KDDIですね。前身のKDDに私は勤めておりましたので、ありがとうございます、御紹介いただきまして。
 それから、私の友人が愛知県東郷町に住んでいるんですけれども、ここも先進事例の一つかと思います。
 ここは、四年前までは農家の高齢化が問題となっていて、特産品もなく、水田も区画が小規模で非効率的で、施設も非常に老朽化しているという状況だったんですけれども、四年前に新しい町長が誕生いたしまして、その公約として日本一おいしい給食というのを掲げて、そして、新規就農して三重県から移り住んでこられた若い御夫婦の方に当選した一週間後に話に行かれて、それで、一緒に町とJAと給食センターと話合いをして、それで有機、地産地消の取組を進めてきた。やってみると、梱包代等の経費もかからないし、圃場から五分もかからないところにセンターがあるので、メリットもあるということでございました。
 そして、毎月一回、JAと給食センターと生産者が打合せ会議をするようになって、これまで余り給食センターとJAとは電話でしか話をしなかったけれども、顔を合わせて話をする中から、地場のものを入れていこうという話がどんどん出てきているということで、つい最近、この町長さんは再選をされました。
 そういった形で、本当に町おこしになるといいますか、非常にいろいろ、最近は特に閉塞感がある中で、ややもすると希望を失いそうになるんですけれども、このオーガニック給食を進めていくということで様々な課題がもしかして解決できるんじゃないかな、そういうふうに思っているところです。是非今後ともよろしくお願いいたします。
 それでは、終わらせていただきます。ありがとうございました。