1800-0005.jpg img_1484.jpg img_1457.jpg img_1489.jpg 1800-0004.jpg 1800-0006.jpg 1800-0001.jpg 1800-0008.jpg 1800-0006.jpg 1800-0009.jpg 1800-0003.jpg 1800-0007.jpg 1800-0010.jpg 1800-0011.jpg 1800-0002.jpg 1800-0000.jpg

衆議院議員 堤かなめによる情報サイト

HOME | 堤かなめのこれまでの質問 | 2022年3月25日内閣委員会

堤かなめのこれまでの質問

第208回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 令和4年3月25日

LinkIcon動画はこちらです

○堤委員
 立憲民主党、堤かなめでございます。
 我が党は、自由で開かれた経済、研究活動の促進と同時に、我が国の先端技術の優位性を確保するという立場であることをまず申し上げまして、経済安全保障法案につきまして質問させていただきます。
 本委員会では、経済安保の定義は何なのか、必ずしも明瞭ではない、漠然としていると様々な委員から繰り返し指摘されています。そして、大臣からはるる御説明いただいておりますけれども、やはり、特定重要技術の定義もまたよく伝わってまいりません。条文には「国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるもの」と記されておりますが、これでは余りにも広過ぎて、やはり漠然としています。
 そこで、条文には記されておりませんけれども、特定重要技術の開発支援については、我が国の技術的優位性、ひいては不可欠性を確保するにつながるか否かを十分に検証すべきと御答弁されています。この優位性、不可欠性とは具体的にどういうものなのか、改めてお聞きいたします。
 また、優位性、不可欠性を十分に検証した上で、対象となる選定基準を明確に定めるとともに、真に必要なものに対し集中的に行うべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○小林国務大臣
 特定重要技術について御質問をいただきました。
 日本だけじゃなくて、アメリカ、欧州あるいは中国、様々な主要国が、将来の私たちの生活を支えるであろう革新的な技術に、これを国家戦略として取り組んでいるわけです。これは民間企業だけではなくて、官民一体となってファンドをつくったり、あるいはそうした組織をつくったりして、今、巨額の資金を入れてしのぎを削っている。
 そういうところに日本が勝負をしなければどうなるかというと、結局、私たちの生活もそうした技術にいずれ頼ることになるわけですから、そうすると、我々の生活を全て海外の技術に依存する、それが国家としてあるべき姿かといえば、私はそうは思いません。
 そういう思いで、政府としてこの特定重要技術というものを官民一体となって育成していこうということで、今回、この法案の中に盛り込ませていただいています。なので、委員と認識は共有させていただいていると思っています。
 第六十一条に定義規定を置いておりまして、これはすなわち、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術と言い得るものでございます。
 こうした他国に優位する技術を保有、何とか獲得をし、社会実装につなげていくことによって、国際社会において我が国は不可欠な存在となって、これを優位性、不可欠性と申し上げているわけであります。
 もう少し具体的なイメージとして申し上げますと、有識者会議の提言におきましては、宇宙、海洋、AI、量子あるいはバイオ、こうした分野が示される中で、その議論の過程において、例えば、衛星コンステレーション技術ですとか、海洋分野でのセンシング技術が例示されました。このほか、例えば、サイバーセキュリティー上の脆弱性の検知技術ですとか、AI処理などが可能なコンピューティング技術なども含まれ得ると考えております。
 その上で、選定基準などについて申し上げますと、社会経済情勢あるいは研究開発動向などを踏まえまして、有識者の意見を聞き、その上で閣議決定する特定重要技術研究開発基本指針において一定の具体化を図る考えでございますが、デジタル化によって技術開発が加速化し、突如として新たな技術が誕生する、こうした可能性を踏まえますと、あらかじめ対象となる技術を網羅的に特定することは困難でございますが、公募による競争も活用しつつ、真に可能性のある技術を見極めていきたいと考えております。

○堤委員
 今大臣から非常に詳しく説明をしていただきましたけれども、しかし、法案にはそのようなことは載っておらず、基本方針や協議会の運営に委ねられておりまして、非常に漠然とした、法案を見ますとやはり曖昧なままになっております。
 我が党の本庄委員からも指摘しましたように、重要なことが明文化されておらず、基本方針、基本指針、省政令に委ねられておりまして、骨組みだけで中身が見えないという法案になっております。
 そこで、基本指針及び省政令で定めるとしている項目はそれぞれ何か所あるのか、お聞きします。

○木村政府参考人
 お答えさせていただきます。
 お尋ねございました政令、省令、あと基本指針について、条文の規定そのものを数える形でお答え申し上げさせていただきます。
 まず、本法案におきまして、政令という規定は五十一回、省令を表します主務省令、内閣府令などは八十七回使用させていただいているところでございます。
 次に、法案中、基本指針と規定しておる指針といたしましては、五本定めることとさせていただいております。
 それぞれ基本指針の記載事項といたしましては、法案第六条に規定いたします安定供給確保基本指針につきましては、同条第二項におきまして九号に分けて規定をさせていただきます。
 次に、法案第十三条に規定いたします供給確保促進円滑化業務等実施基本方針につきましては、同条第二項におきまして五号に分けて規定をしてございます。
 続きまして、法案第四十九条に規定しております特定社会基盤役務基本指針につきましては、同条第二項におきまして六号に分けて規定をしてございます。
 続きまして、法案第六十条に規定いたします特定重要技術研究開発基本指針につきましては、同条第二項におきまして六号に分けて規定してございます。
 最後に、法案第六十五条に規定しております特許出願非公開基本指針につきましては、同条第二項におきまして四号に分けて規定しているところでございます。
 以上でございます。

○堤委員
 基本指針、そして政令とか省令とかでは、皆さん御案内のように、閣議で決定されまして、国会では議論できないということになります。つまり、政府に一任するということになり、国民の代表である議員による様々な視点からの審議が行われない、国民の皆様からは見えないということになります。したがって、このような法案の在り方は議会制民主主義を形骸化していくおそれがあるのではないかということを指摘しておきます。
 さて、法案で明文化されていないこと、定義が曖昧で漠然としていることは、結果的に様々な疑念や混乱を招きかねません。また、大串議員、そして午前中に山岸議員も指摘しましたように、経済安保利権なるものを誘発してしまうことにもなりかねません。
 また、杞憂に終わればよいのですが、経済界、産業界や学術界、アカデミアには、一方的に突然特定重要技術とされ、官民協議会への参加や厳格な秘密管理などが求められることになる可能性について危惧する声もありますけれども、いかがでしょうか。

○小林国務大臣
 お答え申し上げます。
 今委員が言及いただいた危惧する声というのは当たっていないというふうに思っておりまして、説明させていただきたいと思います。
 この法案の特定重要技術の開発支援に関する枠組みなんですけれども、研究開発に有用な情報の研究者への提供など、あくまで官民の伴走支援を行うための制度であって、また、協議会というものを設置するに際しましては、研究代表者の同意が前提となるんですね。
 また、研究代表者の同意を得て協議会が設置されたといたします。その場合においても、協議会で扱われる全ての情報が守秘義務などの対象となるのではないんです。特に、研究成果は公開が基本となると考えておりますので、具体的な対象範囲や運用方法は、個々の協議会ごとに、規約や協議会での協議を通じて、全ての協議会の構成員が納得する形で決めることとなるんです。
 以上のことから、今委員御指摘いただいた危惧する声ということでございますけれども、一方的に突然に特定重要技術に何かが指定されて、厳密な秘密管理などが求められるような状況が発生することはないということは申し上げたいと思います。

○堤委員
 特定重要技術とされた場合であっても、官民協議会に入るのは任意だ、あくまでも任意だということですが、本当に参加を強制されたりしないのか。また、研究者や企業人がいろいろ説明を受けて、一旦は納得して協議会に参加したものの、やはり途中で協議会の方針や考え方と違う、違和感があるといった場合、参加を取りやめるということが可能なのでしょうか。また、その場合、何らかの不利益を被ることはないのでしょうか。

○小林国務大臣
 お答え申し上げます。
 この法案の協議会は、今申し上げたように、研究者の同意を前提として参画していただくものなんです。協議会に参加した後に、今委員御指摘いただいたように、研究者自らの意向によってこの協議会から出たいなというふうに思った場合、それは離脱することも可能な枠組みとしております。
 また、協議会から例えば離脱した研究者の方なんですけれども、その協議会で共有される情報にアクセスできないことなどを除いて、その協議会の枠外で例えば政府から何らかの不利益的な扱いを受けることはございません。
 この特定重要技術研究開発基本指針には、その旨も明示していきたいと考えております。

○堤委員
 基本指針には明示していただくということですけれども、それは閣議決定されるということで、この国会の場では議論されないということになりますので、やはりできる限り法案の中にそういったことも盛り込んで、要らぬ心配や危惧を生まないように、混乱を生まないようにしていただきたいというふうに思っております。
 そこで、もう時間もなくなってまいりましたので少しはしょってお聞きしますけれども、御存じのとおり、経済産業省のエネルギー白書によりますと、例えばトヨタの燃料電池自動車関連の特許が牽引する形で、水素関連分野の特許競争力が日本が世界一とされています。私の地元福岡の九州大学は、水素耐性材料ですとか次世代燃料電池の分野で論文数が世界トップレベルとなっております。
 その中で、今後も様々な水素の利用拡大を図るためには、国際標準化を目指しているということで、やはり、研究成果が公表できないですとか、研究者や技術者の交流が制限されることなどによって革新的な技術開発が妨げられるおそれがあるのではないかと、やはり懸念がまだまだあるということですが、このような経済界の懸念や経済界への影響につきましてどのような見解をお持ちか、お聞きいたします。

○岩田大臣政務官
 お答えをいたします。
 本法案に基づきます協議会につきまして、国の資金により特定重要技術の研究開発を行うに当たりましては、官民の伴走支援を行うに当たり、守秘義務を課すことが、適切な情報を提供することが想定をされます。他方、特定重要技術の研究開発に参加するか否かは研究者の御判断に委ねられているということでございまして、一方的に守秘義務を課すものではございません。
 また、経済界からの意見ということでございますが、協議会を通じて、国の具体的なニーズとともに、具体的な社会実装イメージや政府が実施してきた研究の成果など、研究開発に有用な情報が産学との間で共有されることを期待する、経済界の意見としてそのようなものも出ているところでございます。
 いずれにしましても、経産省として、協議会を組織する場合には、特定重要技術の研究開発に関する情報の適正管理について、参加される研究者の方ともしっかりと協議をしていくことはもちろん、こういった考え方について広く産業界やアカデミアにも御理解いただけるように丁寧に説明してまいりたいと考えております。

○堤委員
 巨人の肩の上に立つという言葉がございます。アイザック・ニュートン、そして科学社会学の創始者ロバート・マートンの言葉でございます。その意味するところは、偉大な先人たちの業績や先行研究など、巨人、その上に立って、そうすると新しい知の地平が見えてくる。つまり、今の学術研究は、そういった先人たちの先行研究ですとか業績、知見や視座、そういったものの積み重ねの上に構築されるものだということですので、知を制限しないように、是非、アカデミアへの配慮、どうぞよろしくお願いいたします。
 終わります。