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堤かなめのこれまでの質問

第208回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 令和4年5月25日

○堤委員
 立憲民主党の堤かなめでございます。
 AV出演被害防止・救済法案について質問いたします。
 初めに、立憲民主党によるこれまでのAV出演被害問題への取組は、今回取りまとめられた法案にどのように反映されているのか、お聞きいたします。

○森山(浩)委員
 堤委員にお答えをいたします。
 本年四月に成年年齢が引き下げられたことにより十八歳、十九歳の者が未成年取消権を行使することができなくなる、この影響について、現役の高校生のアダルトビデオの被害が増える可能性、これが危惧されると指摘されている問題につきまして、今国会におきまして、まず、立憲民主党所属の塩村あやか議員が参議院の内閣委員会において質疑を行い、この問題を提起をいたしました。江崎孝議員が参議院の内閣委員会の質疑で、また塩村議員が決算委員会の質疑におきまして、超党派で議員立法を成立させる必要性を訴えてまいりました。また、衆議院におきましても、我が党からは、私が本会議で、また本委員会におきましては山井和則議員、堤かなめ議員が重ねて訴えてまいりました。
 その後始まった超党派での議員立法各党実務者会合におきまして、立憲民主党からは、与党から示されていた骨子案に対して、被害者の支援団体など関係団体の方からの意見を尊重しつつ、任意解除権を行使できる期間について、激変緩和措置として、本法案の施行からしばらくの間は一年から五年に延ばすこと、その期間の起算点を映像の撮影終了時から性行為映像制作物の公開時に修正すること、公表期間についての制限また無効とする出演契約等の条項の範囲等について検討事項として明記すること等を主に主張をいたしました。
 これを受けて、今回取りまとめられたAV出演被害防止・救済法案におきましては、一つ目としては、附則三条に規定のとおり、任意解除権については、経過措置により、本法案の施行後二年が経過するまでは二年間行使することができ、二つ目として、十三条一項に規定のとおり、任意解除権の行使期間は性行為映像制作物の公表時から起算され、三つ目として、公表期間についての制限、四つ目として、無効とする出演契約等の条項の範囲等についても検討事項として附則四条二項において明記されるということになりました。
 大方、我々の要望事項が盛り込まれ、被害の防止及び救済に資する法案とすることができました。まさに、党派を超えて実現をした法案であるというふうに考えております。

○堤委員
 第十三条第六項では、「出演者を威迫して困惑させてはならない。」とされています。この威迫して困惑させるとはどのような行為なのでしょうか、また、どのように証明するのか、お聞かせください。

○森山(浩)委員
 他人に対して言語や動作で気勢を示し、その他人を戸惑わせ、どうしてよいか分からなくなるような状況に置くことを威迫といいます。例えば、出演者の自宅や実家に大人数で押しかけたり、出演したことが親に知られることを恐れている出演者に対して、親に電話をして経緯を話すぞと伝えたりすることにより出演者を戸惑わせる行為などがこれに該当することとなります。
 威迫行為があったことは、それがSNS上などでされればこの記録によって証明することなどが考えられますが、いずれにせよ、公表後一年、当面は二年ですけれども、以内であれば、出演者は書面等で通知をすることで一方的に任意解除を行うことが可能であり、出演者側で証明の負担を負うということはありません。御指摘の本法案第十三条第六項の違反に対しては罰則が設けられており、この適用については出演者が証明の負担を負うものではございません。

○堤委員
 出演者が証明の負担を負うことはないという点は重要だと思います。
 次に、任意解除によって原状回復義務が発生し、出演者は出演料を返さなくてはならなくなります。これを返すことができない場合、出演者は解除権を行使できない事態になるのでしょうか、それとも、ならないのでしょうか、教えてください。

○山井委員
 重要な御質問をありがとうございます。
 答弁の前に一言、この間の経緯と御礼を申し上げたいと思います。
 この議員立法、短期で超党派で作り上げる段に当たりましては、法制局の齋藤部長さん、そして中谷課長さん、そして内閣府の林局長さんを始めとする、本当にこれは議員と役所と法制局が必死になって作らせていただきましたし、また、きっかけは、二月以降、ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子先生を始めとする方々や、この被害者支援に取り組むNPO法人のぱっぷすさんの金尻カズナ理事長さんを始めとする方々が、これは本当に深刻な被害が広がるということで、党派を超えて訴えられまして、そのことを踏まえて今日に至りました。
 今いただきました質問についてでありますが、結論から言いますと、出演料の返還は契約解除の条件ではありません。
 十三条に規定される任意解除は、二項に規定されるとおり、その旨の通知を発したときに効力を生じ、十四条に規定されるとおり、その効果として、各当事者はその相手方を原状に復させる義務を負うものであります。解除権を行使するために原状回復義務を履行せねばならないものではないため、出演者は、出演料の返還が直ちにできない状況であっても契約を解除することができます。つまり、出演料の返還は契約解除の条件ではございません。

○堤委員
 今、山井議員からございましたように、たくさんの方々の御尽力によったということ、また、御批判もありましたが、それも含めて、皆さんの意向がこの法案に反映されているのではないかと思っております。
 それでは次に、出演契約が解除されたときは、例えば制作公表者は制作したDVDの販売を停止したり動画の配信を停止したりすることになりますけれども、これはいつまでに行われるのでしょうか。よろしくお願いします。

○森山(浩)委員
 すぐです。
 本法案では、制作公表者が法定の義務に違反した場合の解除権や任意解除権などの解除権が定められており、この解除権が行使されれば契約関係は解消されることになります。この解除権が行使されれば、その効果として、すぐにDVDの販売を停止したり動画の配信を停止するべきものとなります。

○堤委員
 すぐにということでございますね。
 それでは、附則三条では、法施行から二年間は任意解除権の行使可能期間を一年から二年に延ばす特例が設けられていますが、その趣旨は何か、教えてください。

○山井委員
 任意解除権は強力な権利でありまして、被害者を守ることができる最強の武器であります。
 この解除権の行使も含めて、出演者の相談に応じる体制を整備し、出演者が相談できることが広く知られるようになるには一定の時間が必要であります。そのため、制度が広く周知され、相談体制の整備が図られるまでの暫定的な措置として、施行後二年間は解除期間を一年から二年間に延長しております。

○堤委員
 先ほどもございましたが、十分な周知、是非よろしくお願いします。
 また、任意解除権は、性行為映像制作物の公表が行われた日から一年が経過したら行使できなくなります。悪質な事業者であれば、巧妙な手口で出演者に解除権を行使させないようにして一年が経過してしまうような懸念があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○森山(浩)委員
 御指摘のとおり、悪質な事業者が巧妙な手口で出演者に任意解除権を行使させないようにして、性行為映像制作物の公表が行われた日から一年が経過してしまうといった事態も想定をされ得ます。
 そこで、本法案では、出演者が、制作公表者等による不実告知により誤認をし、又は制作公表者等による威迫により困惑し、先ほど申し上げました、これらによって性行為映像制作物の公表が行われた日から一年を経過するまでに任意解除をしなかった場合には、当該出演者が当該制作公表者等から任意解除をすることができる旨を記載した書面を受領した日から一年を経過するまでは、なお任意解除をすることができるとしております。
 すなわち、悪質な事業者が不実告知や威迫、困惑行為によって出演者に任意解除権を行使させないようにしても出演者の任意解除権は消滅しないこととして、出演者の保護を図っているところでございます。
 また、本法案は、そもそも十三条五項、六項におきまして、そのような制作公表者等による任意解除妨害目的の不実告知及び威迫、困惑行為を明確に禁止をし、その違反に対しては二十条において三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金という重い刑を科すことにしており、当該行為に対しては強い抑止効果が働くものと考えております。

○堤委員
 今お答えありましたように、任意解除権は強力な武器でございますけれども、AV出演被害を受けた人が実際に行使することができなければ、絵に描いた餅となってしまいます。
 法律、契約といったことに詳しくない人でも容易に解除権を行使できるような工夫、支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○山井委員
 おっしゃるとおりであります。容易に解除権が行使できるような工夫、支援、さらに、この問題についての周知、広報が、法案について必要だと考えております。
 そこで、この法案が成立した場合における法律の所管官庁には、AV出演契約をした人が容易に解除権を行使することができるよう、法律についてQアンドAの形で解説したものを役所のホームページを含め公表したり、解除権を行使するための書面のひな形を作成して、これも公表するなどの具体的な工夫、支援の措置を求めたいと考えております。
 例えば、私も先週、こちらにございますけれども、ぱっぷすさんが編集された「ポルノ被害の声を聞く」という本がございますけれども、こういう本を読ませていただき、被害の実態、問題点、そういうものについて私も学ばせていただきました。

○堤委員
 法律についてQアンドAの形で解説したものを公表したり、解除権を行使するための書面のひな形、これは大変大事だと思います。そういったものを公表していただくということで、是非よろしくお願いいたします。
 法案附則第四条は、法施行後二年以内の検討を規定し、同条第二項では、検討事項として性行為映像制作物の公表期間の制限が特に例示されています。この趣旨を御説明ください。

○山井委員
 これは非常に重要な検討事項であります。いわゆる忘れられる権利というものでございます。一度販売されたアダルトビデオが永遠に公開、拡散され、デジタルタトゥーとなるということは何としても防ぐべきであるとの考えから、この検討規定に入れさせていただきました。
 この項目は私たちの修正要望により追加されたものでありますが、その内容は、出演契約の締結時に定めることとしている性行為映像制作物の公表の期間について、○○年以内としなければならない旨の規定を設けることで、いわゆる忘れられる権利を保護する措置について規定を設けることの可否について検討を行う規定をしたものであります。

○堤委員
 忘れられる権利、これも大変重要だと思っております。是非、検討をお願いいたします。
 それでは、性行為を伴うAVの禁止については、立憲民主党として、この法律とは別途検討を続けることが可能であると考えますが、いかがでしょうか。

○森山(浩)委員
 本法案は、現に生じているAV出演被害について、現にある不適正な出演契約を無力化するための特則、そして流布したAVの差止め請求等を規定することによりまして必要な対策を講ずることを目的とするものでありますので、性行為を伴うAVに関する契約をもその規律の対象に含めているところでございます。
 その一方で、性行為を行うAV自体の禁止を同じ法案に盛り込むということは、今申し上げたことと論理的に整合しないため本法案には盛り込まれなかったところでありますけれども、このことは、本法案と別に、性行為を伴うAV自体の禁止について検討を続けることを何ら妨げるものではございません。
 このため、立憲民主党として、本法が成立した後も、性行為を伴うAV自体の禁止について、支援団体の方々とともに議論をしながら検討を続けることはもちろん可能であります。

○堤委員
 性行為を伴うAV自体の禁止について検討を続けることを、この法案は何ら妨げるものではないというふうにお答えいただきました。
 山井議員も森山議員も、この間、本当に、被害をなくしたい、被害そのものをなくしたい、また被害者を何とか救済したい、そういう強い思いでずっとこれまで議論されてこられましたし、また、関係者の皆様も、今日もお越しになっていらっしゃる方もたくさんおられます、本当に、この間の御尽力に私からも感謝申し上げたいと思います。
 映画やテレビで殺人のシーンがあったとしても、それはあくまでも演技であって、実際に撮影の際に人を殺すことはありません。しかしながら、性交については、演技ではなく、実際に撮影現場で行われることもあると聞いております。この場合、妊娠や性感染症、うつやPTSDなどの危険性がございます。また、撮影現場で暴行、凌辱行為など、個人の尊厳や人権、とりわけ若者や女性の尊厳や人権を踏みにじる行為が行われた場合、心身の安全や健康に影響を及ぼすことになりかねません。
 人間の尊厳と人権の尊重という観点から、立憲民主党として、AVなどにおけるあらゆる性的搾取を根絶するため、今後も全力で取り組むことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。